みんな大好き「とちおとめ」との甘酸っぱいお別れ? 栃木県産いちご“世代交代”はパン&菓子にも
イチゴの生産量日本一を誇る「いちご王国」の栃木県で主力品種が「とちおとめ」から「とちあいか」に移行する中、菓子やパンなどの加工品でも「世代交代」の動きが出ている。長年とちおとめを使っていたパンが製造終了の見込みとなったほか、とちあいかを銘打った新商品も登場。加工品でもとちあいかが“勢力”を広げつつある。
「感謝&最後のとちおとめ」。4月下旬、セブン-イレブン小山城東店。目を引くポップと共に「栃木県産とちおとめ&ホイップちぎりパン」(税抜き168円)が売り場に並んだ。
製造元のリバティーフーズ(茨城県常総市)は2007年からセブン向けのパンの一部に「とちおとめジャム」を使っているが、生産転換に伴い、栃木県と茨城県で販売する今回の商品での使用は最後となる見通しだ。鳥山雅庸社長は「生産者やお客さまに感謝したい」と語った。今後はとちあいかの活用を視野に商品の準備を進めるという。
同様の動きはお菓子やアイスでも。観光土産品製造卸のダイエー(日光市)は23年12月以降に「とちあいかチョコ大福」などの新商品を発売した。担当者は「とちあいかは病気に強いのでロスが出にくく、加工に回る量が少なかった。新品種を採用することで差別化を図れる」と狙いを話す。
フタバ食品(宇都宮市)も、とちおとめ果汁を使ったアイスバーについて「とちあいかへの転換を検討中」とした。
JAグループが扱う24年産(23年秋~24年春)の県産とちあいかの栽培面積は、とちおとめを初めて上回った。加工品でも県産イチゴの世代交代となるのか。
流通関係者は「とちあいかは今後も生産拡大が見込まれ、加工用に回る量も増える」と見通す。一方で「酸味と甘さのバランスがよく、知名度もある『とちおとめ』を使い続けたいというメーカーもある」と、根強いとちおとめ人気も指摘した。