三猿鮮やか、伝統技術の粋 65年ぶり修理完了日光東照宮

下野新聞
2017年3月31日

 「見ざる、言わざる、聞かざる」で知られる日光市山内の世界遺産日光東照宮の彫刻「三猿」の修理が完了し30日夕、元の場所である「神厩舎(しんきゅうしゃ)」に取り付けられた。国宝の彫刻「眠り猫」と陽明門に続く新装となり、東照宮の三つの至宝が全て美しくよみがえった。

 「三猿」は神厩舎を飾る猿の彫刻8面の一つ。昨年6月、65年ぶりに8面とも取り外され、日光社寺文化財保存会が色彩や漆塗り、飾り金具を全面修理した。

 取り付け作業は午後4時半に開始。既に修理を終えた7面の彫刻が並ぶ中、同会の作業員が複製品を取り外して本物を設置した。同会によると、三猿の右下にあるバラの彫刻は昭和の修理で緑色に塗られたため、制作当時の白色に戻したという。

 三つの至宝の修理を担当した同会の色彩技術者沢田了司(さわだりょうじ)さん(67)は「修理が重なる時期の巡り合わせで幸運だった。猿の物語や日本の伝統技術を見てもらいたい」と話していた。

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