煙害と闘う、「日立大煙突」物語を映画に 松村監督、茨城県舞台に意欲

茨城新聞
2016年12月18日

映画「天心」や「サクラ花 桜花最後の特攻」などを手掛けた松村克弥監督が17日、日立市内で講演し、新田次郎原作の「ある町の高い煙突」を基にしたドキュメント映画の制作を考えていることを明らかにした。今後、資料収集や協賛金を募るとともにシナリオを作成。2018年春から同市内を中心に撮影をスタートし、同年秋の完成を目指す。講演は日立女性フォーラムが主催した。

日立鉱山の大煙突建設に携わり、煙害に強い桜の植樹を進めるなど、環境改善に尽力した角弥太郎が1917年の所長当時、ソメイヨシノの苗木を同市内の社宅や学校、鉱山電車沿線などに植えてから来年で100年になることから、映画化を企画した。

物語には、地域住民の煙害対策代表を務めた関(せき)右馬(うまの)允(じょう)をはじめ、日立鉱山の創業者である久原房之助、日立製作所創業者の小平浪平、角の妹・千穂などが登場する予定で、「天心」「サクラ花」に出演した本県出身者らにも出演交渉をしていく。1993年に倒壊するまで高さ155・7メートルを誇っていた大煙突はCG(コンピューターグラフィックス)で復元する考え。

松村監督は「映画化は構想段階だが、地域住民と企業が共存共栄を目指して煙害問題の克服と自然環境の回復に挑んだ英知と人間愛を表現したい」と力説。「重苦しい作品にするのではなく、映画『フラガール』のような人間ドラマに仕上げたい」と話した。

松村監督の講演内容に合わせ、花樹の会の山川敏夫さんが日立鉱山の生い立ちと日立の桜について補足説明を行った。

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