代名詞のコイ、鮮やかに 大山忠作展 茨城・筑西

茨城新聞
2023年4月10日

文化勲章受章者で日展会長を務めた日本画家、大山忠作(1922~2009年)の企画展「鯉を描き続けた日本画家-«文化勲章受章画家»大山忠作展」が、茨城県筑西市大塚の廣澤美術館で開催されている。大山の代名詞とされるコイを描いた作品を中心に23点がそろう。大山の自然と生命に対する心象が、平明で骨太な描写で映し出されている。

大山は日本画の伝統的な画題とされるコイを多く描き、卓越した描写力と鮮やかな色彩で「コイの大山」と名をはせた。同展は大山の誕生日でもある端午の節句(5月5日)に合わせ、コイを主題とした。作品はいずれも、同美術館を運営する広沢グループの広沢清会長(84)のコレクションだ。

2匹のコイが泳ぐ「双鯉(そうり)」は、前景に青葉のカエデを添えることで涼やかな様子を一層引き立てている。「紅白鯉(こうはくり)」は、ヒゴイと白無地のコイの寄り添う姿が印象的だ。

3匹が優雅に泳ぐ「游影(ゆうえい)」は、魚影が映る川底に太陽光が差し、水面(みなも)が揺らめく光景が表現されている。広報担当で広沢商事(同市)の田原一哉観光部長(63)は「大山は描かないものを巧みに描いた。游影は太陽まで想像させる」と作風を説明した。

福島県出身の大山は46年の第2回日展に出品した肖像画「O(オー)先生」で初入選。題材は宗教や人物、花鳥、風景と多岐にわたった。代表作に日本芸術院賞に輝いた「五百羅漢(ごひゃくらかん)」などがある。会期は5月31日まで。