《まち里歩き》冬の里山 眺望で魅了 中之条

上毛新聞
2016年12月7日

◎スタート地点 道の駅霊山たけやま(中之条町五反田)

中之条町のシンボル、嵩(たけ)山(標高789メートル)の南麓にある道の駅霊山たけやまは、手軽に楽しめるハイキングコースの拠点としても親しまれている。冬の装いの里山を楽しみながら、周辺を歩いた。

道の駅には直売所やそば打ち体験施設があり、嵩山に登るハイカーらでにぎわう。道の駅南側向かいに、大きなケヤキが堂々とした姿を見せた。大ケヤキは、嵩山の祭神をまつる親都(ちかと)神社に植えられ、案内板によると、昔から母乳を恵むご神木として信仰されているという。樹齢700年余り。県内2番目という巨木の神々しさに触れた。
境内を巡り、裏から道の駅側に出ると、子どもの元気な声が聞こえた。歩みを進めると「ぼうけん砦(とりで)」と名付けられたカラフルなアスレチックがある。子どもたちはアスレチックに登ったり、楽しそうに声を上げて滑り台を降りてくる。寒さを吹き飛ばそうとアスレチックに挑戦。童心に帰り、心身共にすっきりした。

ぼうけん砦の東に、嵩山の表登山道入り口がある。案内ちらしによると、20分ほどで見晴台に着くようだ。すっかり落ち葉に覆われた登山道を進むと、手軽なハイキングコースとあって、すれ違う人も予想以上。「大天狗まで行くの?」「11月中旬まで紅葉がきれいだったよ」と会話も弾む。見晴台のあずまやからは、雄大な榛名山と吾妻川の清流、伊香保の温泉街も望めて、眺望に魅了された。次回は山頂の大天狗に挑戦しようと心に決め、麓に戻った。
嵩山を左手に見ながら、県道中之条湯河原線を北上すると、「白久保のお茶講の家」の看板が見えた。かやぶき屋根の家では、毎年2月24日に国指定重要無形民俗文化財「上州白久保のお茶講」を開催。飲んだ茶の種類を当てる「闘茶」を伝える珍しい民俗行事は、予約をすれば体験できるという。さらに県道を北に進み、伊参スタジオ公園を目指した。
伊参スタジオの木造校舎が郷愁を誘う。中に入ると管理人の嶌村忠男さん(75)が、こたつのある部屋から「よかったらあたっていきな」と声を掛けてくれた。
伊参スタジオは旧第四中学校の校舎を利用。映画「眠る男」の撮影拠点となり、現在はセットや映画関係の資料を展示している。メモリアルルームの映写機に話が及ぶと「昔は映画が唯一の娯楽。学校に映写機を運んで上映会を開くと、みんな喜んで見て胸をときめかせた」と嶌村さん。いつの時代も映画は心を潤し、希望の橋を渡してくれる。
(文化生活部 清水真奈美)
≪コースの特徴≫
アップダウンのある、2.5キロ余り。歩道が整備され、歩きやすい。

【写真】見晴台からの眺望

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