《旬の人》リアルな表現追求

上毛新聞
2016年8月24日

動物造形作家 守亜和由紀さん(41)

ㅤ桐生にアトリエを構え、東京都内を中心に個展やグループ展を開催、立て続けに作品を発表している。立体作品は熱帯のジャングルに生息する動物や架空の生き物がモチーフ。細部まで精密で、一瞬の動きを切り取った作品にファンも増えてきた。
ㅤ「野生動物が好き」。小学生のとき、マダガスカル島に暮らす野生のアイアイをテレビで見て衝撃を受けた。図鑑とは違う野生の生々しさを知り、魅力を再認識。当時持った野生動物への畏敬の念が今の作風の原点だ。
ㅤリアルな表現の追求に余念がない。動物や爬虫(はちゅう)類専門の学会に参加し、研究者に作品を見せて間違えを指摘してもらう徹底ぶり。足の指の本数から、うろこ1枚1枚まで緻密に作り込む。個体ごとの特徴を捉えるため、素材はポリウレタン樹脂にたどりついた。正確な表現は「動物と研究者たちへのリスペクトの現れ」だ。
ㅤ幼い頃から粘土や絵を描くことが好きだった。「好きなことをして生きたい」。そのためにその場その場で身の振り方を決めてきた。大学を卒業後に就職、その後退職し、2002年から本格的に作家活動を開始した。
ㅤ9月に控える東京都内での個展は古今東西の想像上の生き物がテーマ。架空の生き物も「実際にいそうな動物」として表現。竜は両生類の特徴を踏まえて制作した。ここでもリアルへの探求心と知識が生かされる。「とことんこだわりながら、僕なりの新解釈で作品を生み出したい」

もりあ・かずゆき 1975年、北海道生まれ。父親の転勤で本県に転居。群馬大教育学部美術専攻卒。9月20~25日、東京都文京区のギャラリーで個展を開く。桐生市在住。