《消えた鉄道今昔》木材を搬出する専用線 根利森林鉄道

上毛新聞
2016年7月11日

ㅤ旧利根村(現沼田市)の林業を支えた根利森林鉄道は1963年、全線で廃止された。台風で一部区間の軌道が流出した後、トラック輸送に切り替えられ、復旧されることはなかった。
ㅤ沼田市に拠点を置く、よみがえれボールドウィン実行委員会(内田章会長)の調査によると、同鉄道は沼田営林署が40~42年に敷設した。日影南郷から根利を経由してシャクナゲ平を結び、その先は河川に沿って複数の支線が延びた。機関車導入前は牛が引いたという。
ㅤ森林鉄道は山林から木材を搬出する専用線。明治時代に青森県で登場した津軽森林鉄道が最初とされ、全国各地に敷設された。内田会長(66)=埼玉県嵐山町=は「群馬県内では六つ確認されている。本線、支線のほかに作業軌道があり、必要に応じて敷設、撤去を繰り返したため総延長の把握は難しい。根利森林鉄道は20キロほどあったのでは」と話す。
ㅤ「レールは撤去されたがコンクリートの軌道跡が残っているところもある」と当時を知る今泉喜一さん(83)=沼田市=。今泉さんは廃線跡を畑にして野菜を栽培している。

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写真説明:根利貯木場に停車している機関車(1955年ごろ撮影、よみがえれボールドウィン実行委員会提供)