日立の歴史、希望描く 劇団「ひたち街角小劇場」 26、27日に記念公演

茨城新聞
2016年3月8日

東日本大震災をきっかけに結成された演劇集団「ひたち街角小劇場」が26、27日、日立市千石町の多賀市民会館で30回記念公演を行う。同市の近現代史を追体験しながら、未来への希望を描く物語。メンバーは「震災から5年たち、(同団体も)明るい未来に向け、次のステップに踏み出したい」と話し、演劇で街に活気をもたらしたいと意気込む。

公演するのは「ひたちのさくら物語-桜並木のある街で-」。母親のために開花した桜を探す主人公の少年が、一本の老樹の化身と出合う。老樹の化身は日立鉱山の煙害で荒廃した山々をよみがえらせようと、桜の植樹を始めた人々の話をする。戦時中の凄惨(せいさん)な状況も織り込みながら、故郷の復興を支えた人々を紹介する。

脚本は日立一高の演劇部顧問、豊田郁男(いくひろ)さん(55)を中心に、2年かけて3人で書き下ろした。豊田さんは「節目の公演なので、地元の人が自分のルーツを知る機会を増やしたかった。桜並木は希望の象徴。理想的な街づくりのため奔走した先人たちの努力を見てほしい」と話す。

同団体は震災後、「演劇を通して街を元気に」をモットーに結成された。地元や水戸のアマチュア劇団に声を掛け、若手を中心に公演を行っている。今回は17団体以上の劇団や高校の演劇部が参加、協力している。出演者の一人、佐藤信郎さん(50)は「震災で一度無になった演劇人たちに発表の場をくれた集団。恩返ししたい」と話す。

本番は、10~50代の役者約40人が登場。主人公役の渡辺莉菜さん(18)は「自分は『戦争を知らない世代』だが、最後まで真摯(しんし)に演じきることで自分も成長したい」、最年少の小森茅愛(ちあり)さん(11)は「日立の戦前から戦後までが分かるお芝居。いろんな時代の人たちの気持ちを感じてもらいたい」とそれぞれ話した。

チケットは前売り千円、当日1200円(小中学生はいずれも500円)。問い合わせは同館(電)0294(34)1727

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