映画「ある町の高い煙突」地元日立で先行上映

茨城新聞
2019年6月10日

日立の大煙突を巡る実話に基づいた映画「ある町の高い煙突」(原作、新田次郎)の先行上映会が9日、日立市若葉町1丁目の市民会館で開かれ、同市民を中心とする計約3900人が煙害克服の物語を楽しんだ。上映の合間に松村克弥監督と出演者によるトークショーもあり、撮影秘話や映画への熱い思いが披露された。14日からは水戸市とつくば市で、22日からは全国約80館で公開される。

2017年4月の制作発表から2年2カ月。市や市内企業は「自分たちの映画」と資金面でバックアップし、市民はエキストラで参加するなど撮影に協力。まちぐるみで完成にこぎ着けた作品だ。主役の関根三郎役に井手麻渡さんが起用され、吉川晃司さんや仲代達矢さんらが出演している。

先行上映会で、2時間10分の上映が終わると、観衆から大きな拍手が沸き起こった。

「楽しみにしていた。見終わって感動した」と満足げに話すのは、妻と共に来場した同市中丸町1丁目の青柳満実さん(74)。出身の旧美和村(現常陸大宮市)の山々からも大煙突は見えたという。就職に合わせ日立市に移り住んで半世紀を超す。「大煙突にはみんな思い入れがある。映画ができて本当に良かった」と笑顔だった。市内では2月の試写会に続く上映だったが、チケットは販売開始から3日間で完売。市担当者は「市民の関心はものすごく高い」と驚きの表情を見せた。この日は3回上映され、各回とも熱気に包まれた。

トークショーには松村監督のほか、渡辺裕之さんと城之内正明さんが登場。松村監督は「エコロジーがテーマで、世界で上映したい」と意欲的に語った。渡辺さんは「役者が熱い思いを持ち寄ると化学反応が起こる。これまでで一番か二番の作品」、城之内さんは「日立の人たちの熱気はすごい。この映画に関われて良かった」とそれぞれ力を込めた。

地図を開く 近くのニュース