《旬もの》田村きのこ園(笠間市) シイタケ、味や大きさ探求

茨城新聞
2018年11月4日

笠間市にある「田村きのこ園」代表の田村仁九郎さん(79)はシイタケ栽培を始めて60年になる。ハウスでシイタケの菌床栽培を行う。特に、かさが直径10センチほどになるジャンボシイタケと、「おいしい」という軸部分を太くしたユニークな形のシイタケは、チャレンジ精神旺盛な田村さんの経験と努力のたまものだ。「お勧めの食べ方は焼いたり揚げたり。ステーキもいい。マツタケよりうまい」と胸を張る。

ほの暗いハウス内には、シイタケの育つナラやクヌギのおがくずに米ぬかやふすま(小麦の外皮)などの栄養分を混ぜた菌床が並んでいる。「直射日光を嫌うため、遮光ネットで新聞が読める程度の明るさに保っている」。菌を植えて約6カ月で収穫となる。収穫時期は9月後半~5月ごろ。夏場は休む。

田村さんは昭和30年代、農業のほか燃料用のまきを切り出し生計を立てていたが、ガスの普及を見越し、シイタケの原木栽培を始めた。年齢を重ねた現在は菌床栽培を行う。「ほだ木は重さが10キロを超えるものもあり、原木栽培は重労働で体がもたない。あと少しやろうと、65歳のころ菌床に切り替えた」。菌床栽培を始めたばかりは「おいしさや食感が納得のいく出来ではなかった」。そこで「菌選びや菌の栄養分に工夫を重ねた」。

さらに「小さくても大きくても一つは一つ。収穫する手間は変わらない。大きい方が効率的」と、約10年前からジャンボシイタケを手掛けるようになった。肥料などの栽培法を改良し、肉厚で大きさだけでなく味のよさも自慢。ジャンボの基準は「かさの直径8センチ以上としている。10センチぐらいが多い」。JR東日本の豪華寝台列車で使われているという。「福王しいたけ」として販売する。

「シイタケは軸が一番おいしい。軸のおいしさを最大限に生かそう」と今度はおいしさを追求。うまさのある軸部分を太くした、かさが開かないシイタケを作り、栽培法の確立に取り組んでいる。ごろんとした丸みを帯びた形は「全部が軸のようにおいしい」。「宝珠茸(ほうじゅたけ)」の名で売り出す。

直売のほか、市内のJA常陸の農産物直売所などに出している。長男公一さんが営む桜川市のきのこ亭では、田村さんの作ったシイタケ料理が食べられる。

■メモ
田村きのこ園
▽住所は笠間市福原1605
▽(電)0296(74)2244

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