手のひらの芸術 根付の美 高円宮家所蔵200点紹介 8月4日から茨城県五浦美術館

高円宮家の根付(ねつけ)コレクションを紹介する「高円宮妃久子殿下 根付コレクションと写真展」が8月4日、茨城県北茨城市大津町の県天心記念五浦美術館で開幕する。根付は印籠(いんろう)やたばこ入れなどの小物を着物の帯につり下げる際の「留め具」。海外では「手のひらの芸術」と高く評価されている。本展では、高円宮妃久子さまと夫の故高円宮憲仁さまが収集され、「絆の象徴」となってきた根付200点を一堂に展示する。同展は同15日まで。
同美術館などによると、江戸時代に普及した根付は、単なる留め具にとどまらず、素材の彫刻やデザインの美しさを競い合う装飾品としても発展。しかし、明治維新後に洋装が広がると実用品としての需要は激減した。一方、海外では美術品としての評価が高く、博物館や個人によって収集された。
久子さまは1970年代に英国で学生生活を送る中、根付コレクションに接し、収集を開始。84年、結婚に際し、高円宮さまから根付が贈られた。以来、根付は高円宮家の絆を結ぶ存在となった。2002年に高円宮さまが急逝するまで収集された根付は世界屈指のコレクションとされ、このうち500点は東京国立博物館に収蔵されている。
今回は高円宮家が所蔵する貴重な根付を多くの人に鑑賞してもらおうと、民間の実行委員会が主催。会長を務める浄土真宗・善重寺(同県水戸市酒門町)の藤本貫大住職(59)は、久子さまと根付作品などを通じて10年来の交流があり、準備を進めてきた。
美術思想家の岡倉天心(覚三)が根付を「手のひらの彫刻」と、世界に誇れる芸術と捉えていたことから、実行委は天心の思いを開催趣旨に取り入れた。天心の代表的著作「The Book of Tea(茶の本)」が、出版120年の節目になるのに合わせ、「『旅する根付』-『茶の本』120年目の夏に」を展覧会名の副題に添えた。
展示されるのは象牙や鹿角を素材にした現代の根付200点。高円宮さまが自身の干支(えと)にちなんで久子さまに最初に贈った「十二神将 午(うま)」をはじめ、小動物や人々の暮らしの機微を表現したものなど多種多様な作品がそろう。さらに、久子さまが旅行先の風景に根付を配して撮影した写真約40点も加わる。
藤本住職は「日本固有の芸術彫刻へ昇華した根付は掌(たなごころ)の森羅万象に例えられる。天心先生の聖地で開かれる本展は郷土に根差したものにしたい」と思いを語っている。
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