《釣り》八溝川でヤマメ狙う 水温上昇の午後活発 茨城・大子

4月に入っても雪が降った茨城県大子町にもようやく春がやってきた。15日、桜満開の八溝川でヤマメを狙ってみた。今年のヤマメは、どういう訳か水温の低い朝の時間帯に釣れない。例年ならどんなに水が冷たくても活発に餌を追うのが八溝川のヤマメなのだが-。
1日の渓流魚の解禁日は夜明けと同時にさおを出した。雪の降る日だったが、魚の気配は十分あるのになかなか釣れず、3時間かけてやっと14尾釣った。

この日はわずか30分で5尾が釣れた=大子町の八溝川
2週間たったこの日も朝から狙ったが、ポツリポツリ釣れる感じだ。しかも針掛かりが浅いようでバラシが多い。餌はイクラとピンチョロムシ。どちらの餌でもヤマメが反応し、餌と同調して流れに入ってくる。しかし食うまでに至らないのだ。そしてプイっと餌を見切って反転した瞬間、体のどこかに針が刺さる。いわゆるスレ掛かりだ。
2時間でやっと5尾を釣り上げたが、4尾は引っ掛けだった。ならばと自身の仕事を早く終わらせ、ラジオ番組「晴れときどき大漁」の録音が終わった午後4時過ぎ、もう一度八溝川に来てみた。

餌に使ったピンチョロムシ
朝採ったピンチョロムシはまだ元気だ。さっさと着替えて水に足を入れると「シュン! シュン!」とヤマメが鋭く流れを横切って散っていく。
「すごい元気なやつらだ! 朝とはまるで違うぞ!」。流れにピンチョロムシを入れるとモゾっとアタリ! アワセを入れると大暴れの大サービスだ。しっかり楽しませてくれたヤマメを網に収めるとヒレの先までピンとした野生だった。
こんなに簡単に釣れたとは、水温が上がった午後の魔法か。しかし同じ流れで2尾目はなかった、さすがにヤマメである。
上流へ移動しながらポイントごとに釣れる。桜の花びらが水面をゆらゆらと流れてくるのに、小さなヤマメが飽きずに戯れている。
しかしもう午後4時半、水温は下がり始めている。冷たい風が上流から吹いてくると途端に口を使わなくなってしまった。同5時、渓流の日暮れは早い。目印が見えなくなり、さおをしまった。
それでも、たったの30分で5尾釣れた。「午後マジック」だ。その5尾を写真に撮って流れに戻すと元気に逃げていった。
朝は水温が低いとはいえ今朝の水温は5度あった。釣り方次第で釣れるはずなのだが。少しずつ八溝川が変わってきているのか、ヤマメが変わってきているのか-。きっと気のせいだろう。(奔流倶楽部渓夢・上谷泰久)