謎の「子持勾玉」ずらり 珍しい展覧会 かみつけの里博物館(群馬・高崎市)に出土品が集結
小さな突起(子)が付いた「子持勾玉(まがたま)」をテーマにした珍しい展覧会が3月2日まで、群馬県高崎市井出町のかみつけの里博物館で開かれている。全国で確認された数の1割を占める群馬県出土品のうち52点が集結。人為的に突起、勾玉を割って使用したことや形の時代変遷といった一堂に会することで分かった特徴などを紹介している。
子持勾玉は、5世紀中頃から7世紀に作られた大型の勾玉。基本的には大きさ約10センチ、重さ200グラム程度。共同体が行う神に祈りをささげる際の道具として使われたとされるが、出土場所は集落の竪穴住居や祭祀(さいし)遺跡、豪族居館、古墳などさまざまで、その目的をはじめ今も多くが謎に包まれている。
石材は主に滑石や蛇紋岩で、群馬県西毛の三波川変成帯で取れたとみられる。ボリュームのある厚みが特徴的な県内最古とされる社北遺跡出土品(伊勢崎市市野町)や500グラム超えで県内最大とみられる武井田場出土品(桐生市新里村武井田場)などが並ぶほか、二つの勾玉が連結したようなユニークな形のものもある。石製で表面は滑らかだ。
企画した学芸員の清水豊さん(61)によると、形はコの字状からC字状を経て三日月状に、断面は円形から楕円(だえん)形を経て薄い板状に変遷し、次第に突起も省略化された。清水さんは「古墳時代から飛鳥時代にかけてまじないの方法が変わる中で子持勾玉が主流の道具ではなくなり、コンパクトになったのでは」と推測する。
突起が欠けた物や全体が割られているものもあり、割って使用したことがうかがえるといい、「割る行為が重要だった。増えることで豊かな実りなどを願ったのではないか」と清水さんは想像を巡らせる。
子持勾玉は全国で約700点が確認され、うち県内では約70点が出土。群馬県の多さの謎に迫ろうと、県内外の自治体や博物館など15カ所から群馬県出土品を集めた。
午前9時半~午後5時。火曜休館。