《まち里歩き》▼スタート地点 JR磯部駅(安中市磯部) 温泉マークに癒やされ

上毛新聞
2017年5月24日

「温泉マーク(♨)」の発祥地として知られる安中市の磯部温泉。このマークを巡っては2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、国際規格のデザインへ変更する案が突如浮上したが、地元有志の存続運動もあって「併用」になった。5月の大型連休を利用し、話題を集めた温泉地を訪ねた。
温泉地の玄関であるJR磯部駅を出発点に選んだ。駅のロータリーで早速、お目当ての温泉マークを記したモニュメントを発見した(❶)。江戸時代の1661年にこの地で境界を巡る訴訟があり、その時の判決文に添えられた地図に温泉マークが描かれている。これよりも古い使用例がないことから、発祥地とされている。


駅を後にして緩やかな坂道を下っていくと足湯が見えた。靴を脱いで漬かると、観光客らが交流していた(❷)。磯部温泉組合が開放し、無料で入ることができる。体が温まっただけでなく、疲労回復や冷え性などにも効能があるみたいだ。足拭き用のタオルは忘れずに。


ホテル磯部ガーデンの売店に寄ると、温泉マークがデザインされたTシャツや手拭いがずらり(❸)。昨年の「温泉マーク騒動」以来、売れ行きが好調という。同ホテル社長で磯部温泉組合観光部長の桜井太作さん(46)は、まちおこし仕掛け人の一人。「あらためてこのマークが日本人に親しまれていることが分かった。いま機運が高まっているので、さらに磯部温泉が注目されるような取り組みを仕掛けたい」と意気込む。


磯部温泉は400年ほど前からあり、明治時代になってから温泉街として発展したという。児童文学者の巌谷小波が同温泉を訪れて昔話「舌切り雀」を書き上げ、それにまつわるものが温泉街に点在する。ホテル裏手にある赤城神社の車止めには金属製のスズメが止まっていた(❹)。かわいらしい姿に思わずシャッターを切った。


旅の締めくくりは温泉。市営の日帰り温泉施設「恵みの湯」に向かった(❺)。500円を支払い入浴。地元の常連客や家族連れでにぎわう湯舟に漬かると、体はあっという間にぽかぽかになった。


温泉施設の近くには、碓氷川に架かる愛妻橋がある。晴れた日は妙義山を一望でき、地元の絶景スポットとして知られている(❻)。特に夕暮れの時間帯が美しいという。


温泉マークの発祥地として、再び脚光を浴びた磯部温泉。泉質も確かで、そこで働く人たちの人情の厚さも感じた。今回の旅では身も心もリフレッシュできた。
(文化生活部 井部友太)

≪コースの特徴≫
案内板があり、道は分かりやすい。歩道が狭い場所は車の往来に注意が必要。

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