北茨城・御船祭 5年に1度の大祭 新祭事船に熱気最高潮
■気迫の引き手、町中進む
茨城県北茨城市大津町に約300年前から伝わる「常陸大津の御船祭」は3日、本祭りを迎えた。5年に1度の大祭で、今年は新造した祭事船を使っての開催。同祭保存会メンバーや引き手など約1000人が参加し、見物客も詰めかけて町中は活気に満ちた。
新たな祭事船は昨年3月に完成。2007年に建造した船が老朽化したため、2年間かけて新造した。大きさは全長約15メートル、幅約3.6メートル、重さ約7.5トン。側面にはエイの一種「カラカイ」やタイなどの魚、縁起物の装飾、サクラが描かれている。祭り本番では美しく飾り付けられていた。
早朝の式典で、同保存会の山形義勝会長は新造船での開催に触れ「世話人一同、心を一つにし、みこしを積んで最初の神船として出発できるようお願いしたい」と呼びかけた。同保存会名誉会長の豊田稔市長は、祭りが国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産の対象の候補となっていることを踏まえ「世界の祭りになっても、冠はいつも『大津町の御船祭』。自信を持って執行してほしい」と話した。
2日の宵祭りの後、寝ずの番で守られ、同神社から町中を練り歩いたみこしは祭事船に載せられ、祭りの熱気は最高潮に達した。路上に木枠を敷き、男たちが船体を左右に大きく揺らした後、抵抗が少なくなったときを見計らい、綱を引いて滑走させる。約1キロを神船が勇壮に進んでいった。
同保存会副会長で当番町の大中(おおなか)頭取、高倉雅友さん(57)は「祭りに興味を持ってもらえているのか、人がたくさん出ている。天気も良く順調に進み、楽しみながらやっている」と会場を回っていた。
祭事船を建造したオクムラボート販売(兵庫県姫路市)の奥村雅晴社長(71)も様子を見つめ「迫力がすごい。人生に残る仕事だった」と振り返った。船が通る道沿いに住む松本康範さん(57)は、にぎわった町を見渡し「祭りで盛り上がり、活気が生まれてうれしい」と話した。茨城県高萩市から夫婦で訪れた上田信英さん(74)は初めての祭りに「勇壮で、気迫がすごかった。エネルギーをもらえた」と目を細めた。
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