植物研究者の里見哲夫さんが収集した“下仁田の宝”、廃校に常設展示へ
群馬県下仁田町の元教育長で、植物研究者の里見哲夫さん(95)=同町下小坂=が、これまでに集めた植物や標本などの資料を紹介する展示室を、廃校となった旧西牧(さいもく)小(同町西野牧)に開設する。教師時代から70年以上研究に打ち込み、収集した膨大な資料の常設展示室で、18日にオープンする。里見さんは「展示を通して、子どもたちに自然に親しんでほしい」と期待を寄せる。
同校は現在、「日本子守唄協会」(東京)が、女性の自立や子育て支援の拠点とすることを目指して整備を進めている。展示室を開設することになったきっかけは 、同協会の西舘好子理事長(83)が今夏、里見さん宅を訪問したことだった。保管された収集品や書類を見て、「下仁田町の宝が眠っている」と感銘を受けて展示を勧めた。
展示室は里見さんが約1カ月かけ、自ら資料を運び込んで作り上げた。ドングリや松ぼっくりで作った人形や、虫食い跡が幾何学模様に見える木片など、身近な植物を中心に並べ、学術的な標本や文献はあえて減らした。里見さんは「自然は難しくない。身近で楽しいものだと子どもたちに知ってほしい」と狙いを話す。
下仁田ネギについてまとめた著書や、昭和天皇の来県時に案内役を務めた様子を収めた写真、植物学者の牧野富太郎とやりとりした書簡の写しなど、半生の活動を振り返るコーナーも設ける。見学は無料で、当面は土日祝日に公開する予定。
オープンする18日は、里見さんの講演会と同町出身の森林インストラクター、黛治男さんによる自然体験会を開く。一部イベントは申し込みが必要。問い合わせは同協会(☎03-6458-0283)へ。
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