茨城県北の魅力、短尺動画 県、配信拡大へ注力
茨城県はスマートフォンで気軽に動画を撮影・投稿できるアプリを活用し、数秒ほどの短尺動画で県北地域の魅力を配信する取り組みに力を入れる。短尺動画は若者に人気が高く、企業の広告利用も拡大している。県は影響力のある配信者の投稿や市民向け投稿講座の開催などを進め、「PRツールとして多くの人が活用できる環境づくりを目指す」としている。
活用するアプリは、スマートフォンなどを使って誰でも気軽に数秒間の動画を撮影、投稿できるSNS(交流サイト)「TikTok(ティックトック)」を想定。同アプリは実際の利用者を指す「アクティブユーザー」数が世界で10億人とされ、特に国内では、若者を中心に人気が高い。
県は人口減少や少子高齢化が課題となる県北地域の振興を促そうと、若者に人気の短尺動画配信によるPRを推進。視聴者数の多い「インフルエンサー」が、豊かな景観や昭和情緒の漂う街並みなどの地域資源を撮影・投稿するほか、地域住民にも積極的な投稿を促し、地域の魅力の発信力強化を目指す。
県は7月に、インフルエンサー6組を日立、常陸太田、高萩、北茨城、常陸大宮、大子の6市町に招き、PR動画の撮影を依頼。視聴者数が80万人を超える男女コンビ「お笑い芸人の彼女」は、大子町の袋田の滝や旧上岡小学校、玉屋旅館、JR大子駅前などで撮影を実施。投稿した約40秒の動画は、これまでに視聴が35万回を超えた。
この地域の住民らを対象に同月、ティックトックを使った「ムービーの作り方講座」を日立市で開催。インフルエンサーを講師に、若者世代のトレンドや撮影のノウハウ、注目を集める動画のポイントなどについて解説した。
県県北振興局によると、短尺動画は企業などでも宣伝、広告活動として利用が広がっている。民間企業の調査では、ティックトックをはじめとするSNSなどインフルエンサーを使った広告の国内市場規模が2023年に741億円に上り、20年の2倍に拡大する見通しだ。
同局担当者は「県北地域の住民一人一人が魅力発信するためのツールとして使ってもらえるよう、環境づくりを進めたい」としている。