《食いこ》偕楽園好文亭「カフェ樂」(水戸市)風景一望、心落ち着く空間

茨城新聞
2023年3月23日

うららかな春を迎え、水戸市の偕楽園好文亭の「西塗縁広間」では、千波湖や園内の風景を眺めながら休憩できる偕楽園好文亭「カフェ樂(らく)」がにぎわいを見せている。

偕楽園を運営する茨城県は2020年、梅の時季に限らず通年で魅力向上を図ろうと、好文亭内にカフェを造ることを企画。喫茶サービス提供が可能な事業所を公募した。担当する都市計画課によると、「県民から園内で『休憩する場所が欲しい』『お茶を楽しみたい』などの声が上がっていた」という。

昨年2月にオープン。切り盛りするのは、福祉美容業「Ly-Bright(リーブライト)」(水戸市)の社長、森美木さん(55)だ。美と健康に関心があり、調理師免許も持つ森さんは「カフェをツールとして、世界に誇れる偕楽園の素晴らしさを知ってほしい」と応募。熱意が伝わり、運営を任された。

満開の紅白の梅に誘われ、今月上旬に訪ねると、カフェには心地良い風が吹き抜けていた。西塗縁広間の空気感を大切にした造りで、黒を基調としたテーブルやいすが置かれ、心落ち着く雰囲気が漂っている。

人気のメニューは升に入ったデザート・枡(ます)「梅」と「ティラミス」。茨城の食品を使うなど材料は厳選した。「梅」には、酒造会社「明利酒類」(水戸市)のノンアルコールの百年梅酒をはじめ、手作りの梅ゼリーが入っている。表面に粉糖で「枯山水」が表現され、梅の花形に抜かれたチョコレートがそっと添えてある。「ティラミス」は、ココアパウダーで東門から好文亭へ続く道を再現した。

このほか、園内の笹(ささ)に包まれた笹寿司(ずし)や梅の甘露煮など10種類が味わえる和のアフタヌーンティー「樂彩」も、偕楽園らしさがぎゅっと詰まっている。「(器などの)演出は感動につながる」というのが森さんのこだわりだ。

偕楽園は季節や時間帯でさまざまな顔を見せてくれる。「ご縁を頂き、好文亭でカフェをやらせていただいている。ここから新しい文化を発信していきたい」。森さんは今、新メニューの試作に取り組んでいる。魅力発信に向けた挑戦は続く。

カフェからは四季折々の偕楽園の風景が一望できる

 

■お出かけ情報
偕楽園好文亭「カフェ樂」
▽水戸市常磐町1丁目
▽営業は午前9時30分~午後4時30分。(閉店時間は好文亭に準ずる)
▽枡「梅」、枡「ティラミス」は770円。和のアフタヌーンティー「樂彩」は要予約。3300円。好文亭の観覧料は別途(大人200円。小人、満70歳以上は100円)。