北関東道全通5年 観光・企業誘致に効果 茨城県内

茨城新聞
2016年3月19日

茨城県と栃木、群馬3県を結ぶ北関東自動車道(北関東道)が全線開通して19日で5年を迎えた。各県間の交通利便性の高まりから、観光客や企業の誘致などの効果が県内にも浸透しつつある。県は、さらなる企業誘致や観光客の呼び込みにつなげようと、インターチェンジ近くの工業団地の売り込みを強化、3県の広域観光ルート構築などを進める。

■生産の拠点

真新しい工場の一角に設けられた塗装ブースで、塗料の吹き付け作業が行われ、黄色いもやが周囲を包む。建設機械向けの部品メーカー、岡本製作所(東京)は茨城町の茨城中央工業団地に進出し、2015年5月に新工場を稼働した。

岡本慎一社長は「目指していた通りの効果が表れている」と新工場に満足げだ。同工業団地は北関東道茨城町西インターチェンジ(IC)に直結している。沿線には日立建機やコマツなど大手メーカーも多く立地し、都内に生産拠点を置く同社にとって、物流のメリットは大きい。

岡本社長は「群馬や栃木県内にも取引先は多い。将来的には工場を増やし、(在庫を最小限に抑える)ジャストインタイム(JIT)生産を構築したい」と意欲を見せた。

■圏央道の先

茨城県内の工場立地は好調に推移している。経済産業省の調べによると、14年の立地面積や立地件数は2年連続で全国首位。15年上期(1~6月)もその座を守った。

ただ、県内誘致のけん引役として中核を担う圏央道沿線では、受け皿不足に陥るほどニーズが高いのに対し、北関東道沿線への注目度は今ひとつの状況。同沿線に位置し3地区に分かれた茨城中央工業団地に立地した企業は約10社。現在も全体の9割に当たる約180ヘクタールが未分譲のまま残る。

県の担当者は「圏央道と比べると、北関東道沿線は遠いイメージ。『圏央道の先』と見られている」と話す。このため県は、場所を明確化し存在感を示そうと雑木林だった同工業団地の造成を始め、ICに直結している高い利便性をアピールする。

■広域ルート

北関東道の効果は観光客の数でも示されている。「終点」に近い国営ひたち海浜公園(ひたちなか市)の入園者数(本年度)は、2月末時点で200万人を突破した。開通前に最多だった09年度の149万人を大きく上回った。

県がまとめた本県観光の入り込み状況を見ると、真岡-桜川筑西ICが開通した08年度に比べ、14年度は栃木県からの観光客が4割増、群馬県からがほぼ2倍に増えた。こうした状況を受け、県は3県連携による観光プロモーションなどを展開していく予定だ。

県観光物産課は「北関東道を活用した広域観光は今後の誘客に欠かせない。茨城空港や羽田空港からアジアの観光客を引き込むゴールデンルートとしての観光ルートを構築していく」と意気込んでいる。 

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