《北毛発 温泉百景》猿ケ京 誕生60周年 えと重なり誘客好機

上毛新聞
2016年1月14日

今年のえとは「さる」。名称に猿の文字が入る猿ケ京温泉(みなかみ町)は、現温泉地誕生60周年を迎えた。旅館や民宿は、さる年生まれや還暦の人を対象に宿泊料金の割引やサービスをする特別プランを展開して節目の年を盛り上げる。
三国街道沿いに位置する同温泉。眼下に望む赤谷湖には遊歩道が整備され、四季折々の景色が楽しめる。同温泉誕生には相俣ダム(同町相俣)の建設が関わっている。
1956年、ダムの建設によって湖の底に沈むことになった4軒の温泉旅館が高台へ移転。上杉謙信が名付けたと伝わる地名に由来して「猿ケ京温泉」と名乗り、現在の地で新たに生まれ変わった。
61年に苗場スキー場がオープン。三国街道を通るスキー客が宿泊するようになると、農家が民宿を始め、温泉地の規模が拡大。学生のスポーツ合宿を積極的に受け入れたり、会社の慰安旅行先になったりで一時は宿泊施設が30軒以上にまで増えた。平成になり廃業する旅館も出て、現在は23軒が営業している。
さる年と60周年が重なる本年は宿ごとにお得なプランを打ち出し、誘客に力が入る。仁田屋旅館はさる年生まれの人の宿泊料金を半額にするほか、インターネットの旅行予約サイトを通じてペア宿泊券が当たる抽選を実施。無料宿泊券の抽選は「湯豆のやど 本伝」、「料理旅館 樋口」、「ル・ヴァンベール湖郷」も応募を受け付けている。
猿ケ京ホテルは申(さる)の日の料金を一室あたり3600円引きにする。還暦の宿泊者に夕食のドリンク1杯をサービスするなどの特典を付ける宿もある。
旅館と民宿でつくる猿ケ京温泉やど倶楽部(くらぶ)の持谷明宏代表は「災いが“さる”ために温泉でゆっくりと過ごしてほしい」と呼び掛ける。

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