「とちぎの星」注文殺到 宇都宮酒造 大嘗祭のコメ品種で県産清酒 出荷作業 大わらわ 酒どころ脚光期待も

下野新聞
2019年9月25日

 皇位継承に伴う重要祭祀(さいし)「大嘗祭(だいじょうさい)」に使われるコメ品種に本県オリジナルの「とちぎの星」が選ばれたことで、「とちぎの星」を原料米にした宇都宮酒造(宇都宮市柳田町、菊地正幸(きくちまさゆき)社長)の純米酒「四季桜 とちぎの星」に注文が殺到している。酒販関係者はこれを機に県産米の知名度が上がり、県産清酒全体にも好影響を及ぼすと期待に胸を膨らます。

 同社には宮内庁発表の翌19日から県内外の卸業者、酒販店、スーパーなどから注文が殺到した。「普段の1カ月分の注文が1日で来ているような状態。前年の2倍を仕込んでおり、清酒そのものはあるが、包装など商品作りが間に合わない」と菊地社長。特に「米俵」をイメージした四角形の袋で包装する720ミリリットル瓶は、ひもで封をするため、箱に入れるより手間がかかり、出荷作業は大わらわだという。

 当面、県内取引先を優先して対応しているが、現在は今週中に納品する2千本の出荷作業に追われている。

 同社が純米酒「とちぎの星」を造るきっかけは2015年、お笑いコンビのU字工事が炊いたとちぎの星を賞味するJA全農とちぎの企画の中で「このコメで造ったお酒も飲みたい」というU字工事の提案だったという。

 同年からとちぎの星100%を65%まで磨き、県産酵母で醸すオール県産で仕込んだ。「酒造好適米ではないが、扱いやすく、とちぎの星のコメのうま味をしっかりと味わえる」(菊地社長)という。箱や外袋にはJA全農とちぎのコメ商品と同じ栃木県をかたどったデザインを使用。「とちぎの星」と一目で分かるようにしている。

 菊地社長は「おコメもそうだが、これを機に栃木の清酒全体の知名度が上がり、その一角を担って貢献できれば光栄なこと」と話す。

 一方、県内に30店舗を展開するスーパーのヨークベニマル(福島県郡山市)は酒類売り場に「とちぎの星」コーナーも検討している。ただ「商品が確保しづらく、どれくらいのものができるかまだ分からない」(広報担当)という。酒類卸の横倉本店(宇都宮市)の横倉正一(よこくらしょういち)社長は「大きなチャンス。こんなうれしいことはない。米どころ、酒どころとして栃木の酒をアピールしたい」と話している。