《旬もの》あいきマロン(笠間市) 「矮化栽培」で高品質の栗

茨城新聞
2018年9月30日

新栗の季節-。笠間市の「あいきマロン」は低木で育てる「矮化(わいか)栽培」で栗の生産加工販売を行う。社長の西野歩さん(45)は「全国の栗好きから注文が入る」と大忙し。都内のレストランにも出荷する。

矮化栽培は、木の高さを約2メートルと低く剪定(せんてい)し、幹から出る枝を4本程度に抑える方法。大粒で糖度の高い栗が収穫でき、安定した収量が見込める。低木のため高齢者や女性でも管理作業しやすいなどの利点がある。

開発したのは西野さんの実父、稲垣繁実さんが社長を務める稲本マシンツール工業。同社は金属部品・省力化機器の製造販売が本業だが、2008年のリーマンショックを機に異業種の農業に参入。元県職員で果樹専門技術員だった堀田弘さんの協力で、地元特産の栗の矮化栽培を開発、11年に特許を取得した。14年あいきマロンを設立、16年西野さんが社長に就任した。堀田さんは同社の技術顧問になっている。

品種は粉質系で甘みが強い「筑波」、皮がむきやすい「ぽろたん」、滑らかな食味の「石鎚」など。委託を含め約6ヘクタールを栽培する。

4年前、JR常磐線岩間駅近くに店を開いた。工場として使われていた蔵をリフォームした和の趣ある店舗。香ばしい焼き栗の匂いが立ち込める店内では、西野さんやスタッフが客に栽培方法や保存期間などを丁寧に説明していた。焼きたてを求め来店する人も多い。

矮化栽培の栗は「愛樹(あいき)マロン」のブランド名で焼き栗や生栗を販売する。レトルトのカレーにも大粒の愛樹マロンが入る。「ほくほくした栗の甘さと辛さのハーモニーが楽しめる」と西野さん。矮化栽培のぽろたんの生栗と焼き栗もある。

地元農家から仕入れた栗は「愛宕山」の名で焼き栗、生栗、むき栗を販売する。「熟成むき栗」は収穫後1カ月低温で保存し糖度を高めた。

焼き栗の販売は始まっているが、1カ月熟成させてから加工する愛樹マロンは10月下旬から。

「秋は笠間に焼き栗を食べに行こうと思ってもらえるようになってほしい」と、矮化栽培を普及することで笠間の栗の価値を上げ、地域活性化を目指す。

■メモ
あいきマロン▽店舗は笠間市下郷4147の1
▽営業時間は午前10時~午後5時(栗のシーズン中は無休)
▽(電)0299(57)1088

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