《上州百景 湯けむりの里》情緒漂う湯畑 草津

上毛新聞
2017年12月15日

残したい風景、語り継ぎたい人や文化、伝統を追う「上州百景」。今回のシリーズは「湯けむりの里」と題し、県内の温泉地を紹介する。

◎草津  情緒漂う湯畑

全国屈指の温泉地、草津。年間300万人が訪れ、そのシンボルである国指定名勝「湯畑」は、季節を問わず観光客でにぎわう。
周辺の街並みは本年度、国交省の「都市景観大賞」を受賞した。ライトアップ設備は昨年リニューアルされ、湯畑そのものを強調する演出が高い人気を集めている。
絶え間なく湧き出る源泉と立ち上る湯けむり―。温泉情緒をかき立てる圧巻の眺めに、時を忘れて見とれた。(入山亘)

【撮影ポイント】ISO800、1秒、絞り22。ライトアップで湯けむりが強調される日没後に撮影した。

 

◎法師  「フルムーン」で脚光

弘法大師が発見したと伝えられ、名前の由来となっている法師温泉(みなかみ町)。1875(明治8)年に創業した一軒宿の「長寿館」は標高800メートルにあり、変わらぬ秘湯の雰囲気を醸し出している。大浴場「法師乃湯」や本館、別館が国登録有形文化財に指定されている。
法師乃湯は95(同28)年に建てられた鹿鳴館様式の木造建築。浴槽の下に敷き詰められた玉石の間から、湯が自然湧出している。旧国鉄の「フルムーン夫婦グリーンパス」のポスターなどで紹介され、全国に知られるようになった。県が製作した映画「眠る男」のロケにも使われている。
(綱島徹)

【撮影ポイント】ISO400、2分の1秒、絞り8。窓から差し込む自然光を生かし、風呂の空気感や、木の質感を表現した。

 

◎伊香保  輝く万葉からの歴史

午後5時過ぎ、山の上に大きな月が昇った。師走の夜。月は、明かりがともった伊香保の温泉街をほのかに照らしている。
伊香保の歴史は古く、万葉集の和歌にも詠まれている。温泉街は榛名山中腹、標高700メートルに広がり、365段の石段を中心に本県を代表する観光地として今も栄える。山と月、温泉街。作り出された美しい夜景に酔いしれた。(外処郷平)

【撮影ポイント】ISO400、6秒、絞り10。温泉街から西に約1キロの展望台から撮影。月の位置と空の色のバランスに気を配った。

 

◎霧積  伊藤博文ゆかりの宿

長野県境にある霧積温泉(安中市松井田町坂本)。山あいに一軒宿の「金湯館」がひっそりたたずむ。
1884(明治17)年の創業当時、霧積は旅館や別荘など42軒が並ぶ人気の避暑地だった。
金湯館には政財界や文学界の著名人が数多く宿泊した。伊藤博文らが明治憲法の草案を練ったという1号室は今も予約が途切れない。天井を見上げれば、目に入るのは黒光りした太いケヤキの梁(はり)。完成から134年変わらぬ姿を眺め、歴史の一幕に思いを巡らせた。
(山田浩之)

【撮影ポイント】ISO3200、100分の1秒、絞り5・6。あえてストロボを使わず、手前の部屋を暗がりにして奥の部屋を浮き立たせた。

 

◎磯部  誇りの温泉マーク

湯気をイメージした波線3本が連なる温泉マーク。安中市の磯部温泉が発祥の地として語り継がれる。足湯スポットにマークの基となった古い絵入り地図の石碑があり、観光客の関心を誘う。
2020年の東京オリンピックを控え、温泉マークは外国人観光客らに分かりやすいようデザインの変更が議論されたが、他のデザインと選択制で存続することとなった。磯部温泉組合の桜井太作観光部長は「日本人にとってなじみのマークであり、地域の誇り。大切にして盛り上げていきたい」と話している。
(大橋周平)

【撮影ポイント】ISO4000、30分の1秒、絞り20。広角レンズを使って碑にできるだけ近づき、マークが強調されるようにした。

(つづく)

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