緻密さ職人のこだわり 究極の技、亀甲結城紬

茨城新聞
2017年9月3日

職人による究極の技術から生まれた貴重な200亀甲細工と250亀甲細工の結城紬(つむぎ)が、結城市結城の老舗問屋、奥順の本場結城紬染織史料館「手緒里」で、6年ぶりに公開される。緻密な職人の技術が光る貴重な作品だ。2日から始まった展示会に合わせた企画で、同社は「職人のこだわりを見て感じ、理解してもらえたら」と話している。

公開は、10月1日までの展示会「結城紬の細工展」に合わせたもの。200亀甲2点を2~15日、250亀甲を16日~10月1日の2期に分けて展示する。

反物全体に亀甲があるものを細工と呼ぶ。柄の細かさは1反の幅(39センチ)の中に亀甲模様が幾つ織り込まれているかで表される。数字が大きくなるほど亀甲の大きさは細かくなり、高度な技術が必要。現在、作られている最も細かいものは160亀甲といい、250亀甲は「一つの亀甲の大きさが2ミリ以下」(同社)という緻密さだ。

250亀甲細工は、1997年に谷沢雄一さんの機屋で完成した。同社の依頼を受け、完成まで10年を要した。奥沢順之専務は「最初にして1反しかない。今となっては値段が付けられないもの」と強調する。

父親の重男さんと「絣(かすり)くくり」を担った谷沢さんは昨年10月、57歳の若さで病気で他界。妻の和子さん(58)は「苦労はあったが、すごいものを残してくれた。人の手でこれだけ細かい仕事ができることをぜひ見てもらえたら」と話す。奥沢専務は「世代や人を超えて共有できる芸術。職人が大変な思いをして作っていると言ってしまいがちだが、職人だから味わえるものづくりの楽しさもある。職人の思いに触れてもらえたら」と力を込めた。

火曜休館。会期中は入館無料。18日には2回、谷沢和子さんのトークイベントも企画されている。問い合わせは同社(電)0296(33)5633

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