“野生”の姿間近に 動物に親しもう

上毛新聞
2017年7月21日

ㅤ動物園に行くと、さまざまな動物に出会えます。百獣の王のライオンをはじめ、人気者のゾウやキリン、かわいらしい赤ちゃん動物―。
ㅤ群馬サファリパーク(富岡市岡本)では、日本でここにしかいないスマトラゾウ、美しいホワイトタイガー(ベンガルトラの白変種)など、約100種千匹が暮らしています。
ㅤここでは多くの動物が仲間と群れをつくっています。来園者は車に乗って動物たちのすぐそばを通ることができ、野生に近い姿を見られます。
ㅤ来園者が歩いて行ける「ウォーキングサファリゾーン」には、ネコ科の展示エリアがあります。トンネル状の通路を見上げると、ガラスごしに寝そべるライオンとホワイトタイガーを見ることができました。2匹ともしっぽをパタパタ動かして気持ちよさそうです。
ㅤ動物園には、このようにめずらしい動物を見て楽しんでもらうだけでなく、絶滅のおそれのある動物を保護する役目があります。開発が進んで野生動物たちのすみかが減ったりして、ベンガルトラやコアラなどは地球からいなくなってしまうかもしれないのです。
ㅤ近年は多くの動物園が、新しい動物を捕まえて連れてくるのではなく、今いる動物をふやそうとがんばっています。6月には東京の上野動物園でパンダの赤ちゃんが生まれ、大きな話題となりました。動物の姿を通じて自然環境についても考えてみましょう。

◎国内151の動物園と水族館 絶滅から守り、ふやす
ㅤジャイアントパンダやトラ、ゾウ―。動物園の人気者の中にも、絶滅の一歩手前まで数が少なくなっているものがいます。樹木の伐採など人間の開発によって生息地を壊されたり、毛皮などが高値で取引されるため捕まえられたりしたことが原因です。
ㅤ動物園や水族館に行けば、たくさんの生き物を見ることができます。国内151の動物園と水族館でつくる「日本動物園水族館協会」は、持っている知識や技術力を集め、絶滅しそうな動物を守り、ふやしていけるように日々努力しています。
ㅤ県内でも、群馬サファリパーク(富岡市)が、絶滅のおそれがある「シンリンオオカミ」の繁殖に取り組んでいます。桐生が岡動物園(桐生市)も、希少な「フンボルトペンギン」の繁殖に成功しました。

 
進む動物の高齢化 条約で輸入難しく
ㅤ人間と同じように全国の動物園で動物の高齢化が進んでいます。桐生が岡動物園(桐生市)では今年4月、アジアゾウの「イズミ」が61歳11カ月(推定)でこの世を去りました。アジアゾウのめすとしては国内最高齢でした。
ㅤ長生きできるのは良いことに思えますが、高齢化の背景には国際的に動物の価格が上がっていて、若い動物を日本の動物園にむかえられなくなっている事があります。特に最近は急速に経済成長する国で次々と動物園が建設されているため、動物の取引が多くなり、価格の上昇が続いています。
ㅤまた、動物を守るワシントン条約によって新しい動物を外国から輸入することが年々難しくなっています。そのため昔からいる動物が現役を続けなければいけない状況につながっているのです。

【写真】頭の上でライオンとトラが寝ています。なかなか見られない姿にびっくり=富岡市・群馬サファリパーク

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