岡本太郎作「太陽の鐘」前橋へ 広瀬川河畔、交流起点に

上毛新聞
2017年5月11日

前橋市に拠点を置く企業でつくるまちづくり支援団体「太陽の会」(会長・田中仁ジンズ社長)は9日、東京都内で記者会見し、同市千代田町の広瀬川河畔に芸術家の岡本太郎氏(1911~96年)が制作した造形作品「太陽の鐘」を設置すると正式発表した。田中会長は「太陽の鐘が地域の創造の芽をつくり、交流の起点となってほしい」と期待を込めた。
太陽の鐘は1966年に制作された。鐘の直径は約1.2メートル、高さは約2.4メートル。鐘をつるす台(高さと幅各約7メートル)と一体の作品。日本通運(東京都)が静岡県内に開業したレジャー施設に設置し、閉園後は同社が保存してきた。
設置場所は広瀬川に架かる諏訪橋の南西の市有地。建築家の藤本壮介さんがデザインする盛り土の丘の上に11月までに設置する。作品の修復や設置にかかる費用計約3000万円は同会が負担する。
太陽の会の活動方針に賛同した前橋出身のコピーライター、糸井重里さんや岡本太郎記念館長の平野暁臣さんらが仲介し、同社は市に寄贈することにした。
会見で平野さんは「太陽の会の気概は、岡本太郎の目指した方向と同じ。作品が市民の活動の象徴になればいい」と期待した。山本龍市長は「市民の誇りである広瀬川のほとりに設置される。前橋の新しい芽吹きを見守る存在になってほしい」と述べた。
会場では田中会長と糸井さんのトークセッションも行われた。糸井さんは「『なんだ、これは!』というのが岡本芸術。(街の再生に)雷のような効果があればいいなと思う。太陽の鐘を設置する前橋だけでなく、地方の人が『頑張れば何かができる』と思えたらいい」と話していた。
太陽の会は会員企業24社で、毎年純利益の1%(最低額100万円)を寄付金として拠出し、まちづくりや地域再生に役立てる。昨年8月に発足し、「太陽の鐘」事業を第1弾プロジェクトと位置づけている。

 

【写真】鐘の原寸大パネルと並ぶ(右から)藤本さん、糸井さん、田中会長、山本市長、平野さん

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