陽明門 大修理終え4年ぶり公開 日光東照宮

下野新聞
2017年3月11日

 日光市山内の世界遺産日光東照宮は10日、約40年ぶりの大修理を終えた国宝「陽明門」の竣工(しゅんこう)式を開き、一般公開した。約12億円を投じ、508体の彫刻や屋根などを全面修理。式典で関係者が五色の幕を引き、絢爛(けんらん)豪華な日光のシンボルが約4年ぶりに姿を現した。境内は世界に誇る社寺建築の通り初めをする参拝者で終日にぎわった。今月中に「三猿」など猿の彫刻8面の修理も完了予定で、春の観光シーズンに向け大きな弾みとなりそうだ。

 竣工式は午前11時から陽明門前で開かれ、関係者約170人が参列。除幕され美しくよみがえった至宝が姿を現すと、拍手と感嘆の声が上がった。続いて徳川家康(とくがわいえやす)のみ霊を乗せたみこしが先頭となり、関係者による通り初めが行われた。

 東照宮は今年の参拝者を昨年比55万人増の250万人と見込む。稲葉久雄(いなばひさお)宮司は「東照宮、そして日光の象徴が輝かしくよみがえり感無量。日本の観光に寄与できれば」と力を込めた。

 祝賀会に出席した福田富一(ふくだとみかず)知事は「江戸時代中期の工芸・装飾技術の粋を結集した宝がかつての優美な姿を取り戻したことは、県民の喜び」と祝辞を述べ、文化庁の宮田亮平(みやたりょうへい)長官は「日本の文化のすごさを世界に知らしめることができる」と期待を寄せた。

 陽明門は徳川3代将軍家光(いえみつ)による寛永の大造替で1636年に建立。江戸時代から定期的に修理が行われ、今回は1969~73年の「昭和の大修理」に続き通算21回目となった。

 2013年6月に着工し、当初は6カ年計画だった工事を2年短縮。延べ約2万2千人の技術者が古くからの材質、工法などを厳格に踏襲して修理に当たった。漆は全て国産として、ウルシの木3千本分に当たる約600キロ、金箔(きんぱく)は約24万枚に及んだ。

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