「動く恐竜」よりリアルに 研究成果反映し刷新

茨城新聞
2017年1月10日

県自然博物館(坂東市大崎、横山一己館長)で1994年の開館から22年間にわたり、親しまれてきた常設展示のロボット「動く恐竜」が、初めて本格的にリニューアルされる。近年の研究成果によって大きく変化した恐竜の最新イメージを反映させるのが狙い。肉食恐竜ティラノサウルスの幼体を模した動く恐竜は、全身に羽毛が生えた姿で再現される。子どもたちの想像力を、さらに刺激してくれる展示となりそうだ。16日から工事に入り、3月18日に公開される。

同館2階の約70平方メートルには、ティラノサウルス1体と小型の恐竜6体をかたどった動く恐竜計7体が配置されている。しかし老朽化に伴い、近年は恐竜の首が折れるトラブルなども発生していた。

今回のリニューアルに伴い、恐竜の大量絶滅が起きる直前の白亜紀後期(約6600万年前)、北米地域にあった水辺付近のイメージを再現。ティラノサウルスの成体(体長約7メートル)と幼体(同約3メートル)、さらに特異な角の形で広く知られている草食恐竜のトリケラトプス(同約5メートル)を模した計3体が新しく配置される。いずれも実物を約70%の大きさに縮小した。

ティラノサウルスの幼体は、羽毛の入った琥珀(こはく)が近年発見されたことによる最新の研究成果を反映し、背中が茶色、腹は白い色になる。恐竜の鳥類への進化の関係性も、より分かりやすく示される。一方、成体は体温を発散させるために羽毛がほとんどなかったと考えられ、現在の茶色から、ゾウやサイのような白っぽい色に変更されるという。

トリケラトプスは、前足の指が前を向いていたと考えられてきたが、新たな動く恐竜は従来像を一新し、前足の指が体の外側へ向いている姿勢になる。体色はイグアナのような緑色系。

ティラノサウルスの嗅覚に関する研究成果を受け、来館者の匂いを嗅ぐような動きも見せるようになるという。恐竜の動きは遠隔操作できるようになり、展示解説などで役立てられる。工費は動く恐竜だけで約7千万円。

新たな展示は恐竜だけでなく、同時代に生息した肉食の有袋類なども再現し、中生代の哺乳類の多様性を演出する。植生も緑一色のイメージでなく、近年の研究で明らかになった、花を咲かせる植物が満ちた様子をよみがえらせる。

動く恐竜を監修した同館学芸員の加藤太一さんは「強い興味関心を引く格好の展示物。恐竜と共に当時の生物種の多様性を示すことで、自然史の学習を推進できるはず。自然科学の楽しさを知ってもらえたら」と話している。

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