「淵に立つ」に最優秀作品賞 高崎映画祭 受賞作発表

上毛新聞
2017年1月10日

群馬県の高崎映画祭委員会は6日、第31回高崎映画祭の各賞受賞者を発表、12部門に9作品、16人が選ばれた。最優秀作品賞は、家族を巡る人間ドラマを描いた深田晃司監督の「淵(ふち)に立つ」に決まった。映画祭は3月25日~4月9日の16日間、2016年の話題作や過去の名作などを上映する。授賞式は3月26日、群馬音楽センター(高崎市)で開かれる。

◎「湯を沸かすほどの熱い愛」が4部門で受賞
「淵に立つ」は、現代日本の揺れ動く家族像をユーモラスかつ冷徹に描いた作品。映画祭の志尾睦子プロデューサーは「家族だからこその不条理を描いており、人間の闇に突っ込んでいくような野心的な作品。その中でも希望を見いだせるようなラストで、映画でしか表現できない作り方だ」と絶賛した。

また、「湯を沸かすほどの熱い愛」は、最優秀監督賞に中野量太監督が選ばれるなど4部門で4人が受賞した。突然の余命の宣告を受け、残りの人生を奮闘する主人公を演じた宮沢りえさんは、最優秀主演女優賞に選ばれた。

映画界の未来を照らす革新的な作品に贈られるホリゾント賞は、戦争をテーマにしたアニメーション映画「この世界の片隅に」。片渕須直監督と、主人公すずの声を演じたのんさんが受賞する。

高崎映画祭は、地方ではあまり見る機会がない魅力的な映画を発信しようと、1987年から開催されている。各賞は昨年1年間に公開された邦画約430本から選考された。

その他の受賞者(監督・出演作品)は次の通り(敬称略)。
▽最優秀監督賞 森義隆(聖(さとし)の青春)
▽新進監督グランプリ 小路紘史(ケンとカズ)
▽最優秀主演女優賞 筒井真理子(淵に立つ)
▽最優秀主演男優賞 三浦友和(葛城事件)
▽最優秀助演女優賞 りりィ(リップヴァンウィンクルの花嫁)
▽最優秀助演男優賞 斎藤工(団地)
▽最優秀新進女優賞 杉咲花(湯を沸かすほどの熱い愛)
▽最優秀新進男優賞 カトウシンスケ、毎熊克哉(ケンとカズ)
▽最優秀新人女優賞 伊東蒼(湯を沸かすほどの熱い愛)
▽最優秀新人男優賞 吉澤太陽(海よりもまだ深く)

 

【写真説明】最優秀作品に輝いた「淵に立つ」のワンシーン(c)2016 映画「淵に立つ」製作委員会/COMME DES CINEMAS

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