茨城県北芸術祭 作品を見に行く(5) 高萩 砂浜に突き刺さる“青空”

茨城新聞
2016年10月19日
161018kenpoku

開催テーマ「海か、山か、芸術か?」の海側の展示を担う高萩市では3カ所で7作品を紹介している。長い歴史と伝統のまちは紅葉シーズンを迎え、現代のアートが加わることで多面的な表情を楽しめる。

常磐道・高萩インターチェンジを降りてすぐ右手に県指定有形文化財の古民家「穂積家住宅」が見えてくる。白壁・瓦屋根の長屋門に囲まれた主家、前蔵、衣装蔵などがある。

伊藤公象さんの作品は日本庭園の数カ所に配置され、門をくぐって右手から回遊しながら見る。厚さ3ミリほどにスライスした柔らかな土を、即興的に手でくしゃくしゃに曲げる。「似ているようで違う、一つとして同じもができない。生命を持っているものは皆そういう原理がある」と語る。「多軟面体」と呼ぶ有機的なフォルムを持つ陶造形約3000個が太陽の光や雨にぬれるなど自然とともに変わる表情を見せてくれる。

次はいよいよ海だ。真っ白い砂浜や磯遊びのできる岩場、海食崖など変化に富んだ約7キロの海岸にはユニークな作品が並ぶ。見る角度によって変化する作品を、全部カメラに収めたくなる。

まず高戸海岸(前浜)の駐車場に立つと、思わず「おぉ~」と声が出て、次の瞬間には作品に走り寄ってしまう。イリヤ&エミリア・カバコフさんの作品は雲が浮かぶ青空が砂浜に落ちてきたイメージ。縦横11メートルの空は「自然に海が見える形で刺さっていること」がポイント。大風が吹いても、吹き飛ばされないようがっちり据え付けてあるという。

同じ砂浜には消波ブロックを模した赤や黄色の造形が見える。ニティパク・サムセンさんが県北にリサーチに来た際、海外であまり見られない消波ブロックに興味を持った。「波を打ち消し人を守るものだが人は関わらない。とても無機質」と思ったという。ビニール素材で柔らかく、触れることで「無機質なものとコミュニケーションが生まれる」とも。

高戸小浜の彫刻は巨大な巻き貝から大きな指がのぞく。貝の中に住む巨人の指か。作家には申し訳ないが、ちょっと怖い。が、見ているうちにいろんな角度や距離から見てしまう作品だった。自然と人の関係を問い直しているかのように。

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