《水辺の風景》太田 金山城跡・日ノ池 雨乞い神事の聖地

上毛新聞
2016年9月14日

太田市の金山城跡にある「日ノ池」は、絶えず地下から水が湧き出して枯れることがない。麓から高さ170メートルの金山山頂近くに広がるその不思議な光景は、山城ファンだけでなく県内外から訪れる多くの人を魅了している。
池は直径16メートルほどの円形で、水深は最も深いところで約2・5メートルある。15世紀の金山築城よりも前に作られた、水に関する祭事の人形「土馬」が出土しており、雨乞いなどを行う神聖な場所として古くから民間信仰に取り入れられたと考えられている。
戦国時代にはその豊富な水が権威誇示の役割も担ったようだ。金山城研究の第一人者、宮田毅さん(63)=板倉町大高嶋=は「水場は見えないところに作るのが一般的。だが金山城は、日ノ池を見せつけるような動線で設計されている」と説明する。
近くの「月ノ池」(直径約7メートル)とともに「大池・小池」「太郎池・次郎池」と呼ばれたこともあったという。大正時代後半ごろから、現在の呼び名になったとみられる。
昭和の時代になっても日照りが続くと、雨乞いのために池の水をくんで畑にまく農家の姿があったという。日ノ池に対する信仰心は、現代に至るまで脈々と地域に伝わってきた。
城跡は石積みが一部そのまま残る貴重な史跡。だが、昨年9月には復元した池周辺の石敷きが、イノシシによって荒らされたことが分かった。被害防止の抜本的な方法がないため、今のところ修復のめどは立っていない。

【メモ】
金山城は1469年に築かれた山城。「日本100名城」に選ばれている。1994年から調査整備事業が始まり、当時の姿に一部復元されている。史跡金山城跡ガイダンス施設(金山町)で歴史を学ぶことができる。

【写真】神聖な水辺としての役割を担ってきた日ノ池

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