《路線バス 終点を行く(10)》伊勢崎 養蚕の歴史 次世代に

上毛新聞
2016年6月16日

利根川の堤防を右手にバスは走る。のどかな農村風景が広がる中、世界文化遺産の田島弥平旧宅前を右折すると「いせさきしコミュニティバスあおぞら・境シャトルバス」の終点「島村蚕のふるさと公園」(伊勢崎市境島村)が見えてきた。
かつて蚕種(蚕の卵)の一大産地として栄えた島村地区だが、養蚕業の低迷とともに一面の桑畑は野菜畑へと姿を変えた。1960年に2千人を超えていた人口は4月現在、1263人にまで減少。終点近くの境島小も昨年度末、児童数の減少で閉校となった。
だが、2年前の世界遺産登録などを契機に地元の養蚕の歴史を多くの人に伝えようと、地元の取り組みは活発化している。終点から弥平旧宅へと向かう道沿いには「ぐんま島村蚕種の会」が見本桑園を整備。約30種類のクワが葉をつけ、休日には観光客が昔を懐かしみ、写真に収める姿が見られた。
旧宅の目の前にあるおもてなし広場にはテントが並び、住民有志でつくる「島村蚕のふるさと会」が毎週末、観光客らに無料で桑茶を振る舞い、地場産野菜や絹関連の土産品を販売している。心を込めたおもてなしで、いつの日かまた地域を訪れてもらうためだ。
メンバーの1人、栗原玲子さん(79)は言う。「世界遺産登録をきっかけに本当にいろいろな人と知り合えた。養蚕の復活は難しいけれど、先人の偉業を次の世代に伝えていきたい」。“蚕の村”の歴史を語り継ぐ取り組みが続いている。
【境シャトルバス】市民病院北から伊勢崎駅などを経て境支所、境町駅など旧境町地区を回る無料バス。1日4便あり、曜日や時間帯で経由地が一部異なるが、終点までの所要時間はおおむね70分。地図は最も多くの停留所を回る第4便。

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