〝1位宣言〟弁当販売 北茨城の旅館 魅力最下位逆手にPR

茨城新聞
2022年6月14日

逆転の発想で、魅力度1位宣言を-。茨城県北茨城市平潟町のあんこうの宿まるみつ旅館は、常陸牛と豚肉の「常陸の輝き」、地元のあん肝を使ったご当地弁当の販売を始めた。商品名は文字を上下逆にした「茨城県魅力度ランキング最下位弁当」で、最下位を逆手に取りPRにつなげる。武子能久社長(46)は「茨城を代表する三つの素材を使い、全国に魅力を伝えたい」と力を込める。

使う食材は、武子社長の祖母から受け継ぐ、しょうゆベースのタレで味付けした。あん肝は添えられたゆずこしょうを使うことで、味の変化を楽しめる。食材の組み合わせについて、「肉好きの人に向けてあん肝の良さをPRしたい」(武子社長)という狙いもある。弁当のコシヒカリと漬物も県産品を使用。常温のほか、輸出も見据えて冷凍も取り扱う。

開発のきっかけは、都道府県魅力度ランキングだった。茨城県は過去13回の調査中、11回で最下位となっている。昨年も最下位となり、高校生の次女が「今年も茨城が最下位だって…」と寂しそうにこぼした。武子社長は「子どもたちの思いもあり、観光に携わる茨城人、大人として(開発に)挑戦した。ふるさとに誇りを持ってほしい」と、茨城県を代表する食材を組み合わせ、〝1位宣言〟できる弁当を作った。

さらに、新型コロナウイルスの感染拡大や原発処理水の問題など、旅館業にとって厳しい時代も続くが、「チャンスだと思い、前向きな考えでいると知恵は出る。向かい風を追い風にしていきたい」と語った。

8月までの3カ月限定で、毎月50セットを販売する予定。通常価格は2530円だが、先着100食は1980円で提供。イートインではあん肝吸いもセットとなる。国産牛、豚を使っている上弁当(1540円)も展開する。問い合わせは同旅館(電)0293(46)0569。