旧久原本部、当初の姿に 日立・日鉱記念館 改修工事完了、塵外堂も

茨城新聞
2021年5月6日

日立鉱山の足跡を展示するJX金属グループの日鉱記念館(茨城県日立市宮田町)敷地内にある「旧久原本部」と「塵外堂」の老朽化に伴う改修工事が完了し、28日、関係者に披露された。いずれも創業者・久原房之助にゆかりがあり、同市の近代産業発祥の歴史を伝える建造物。約10カ月の工事を経て、建設当時の姿に復元された。

旧久原本部は1905年の日立鉱山開業時に久原房之助が居住し、会議などにも使われた木造平屋の家屋。屋根や柱が腐食するなど全体に傷みが激しかったことから、当初の状態への復元を目指し、昨年3月に改修工事が始まった。屋根は写真記録に基づき、正方形の銅板を1枚ずつ菱形(ひしがた)につなげる菱葺(ぶ)きを再現し、床板の木材は使える部分はそのまま活用した。壁は耐震性を強化した。

塵外堂は都内の久原邸にあった仏像を安置する建物で、85年の同記念館開設時に移築された。日立鉱山大雄院製錬所の場所に立っていた巨大スギを用いて建てられた。土台部が腐食したため、改修で建物全体を持ち上げて基礎工事をやり直した。

新型コロナウイルスの感染状況などを踏まえ、お披露目会がこの日に設定され、小川春樹市長ら市幹部や日立製作所関係者など10人が参加した。JX金属日立事業所の鈴木義昭所長は「近代産業の歴史資料として、これらの建物がどんな形で活用されていたか、多くの人に見学して知ってほしい」とあいさつした。二つの建物は記念館本館の西側にあり、無料で一般公開される。

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