戦中製造D51、筑西に 千葉の男性から無償譲渡 月内に公開
千葉県白井市の山崎正夫さん(65)が、自宅の庭で保管している蒸気機関車(SL)を無償譲渡し、10月中旬にも筑西市の観光施設のザ・ヒロサワ・シティが無料公開する。SLは戦時中に製造されたもので、鉄道連隊に所属した亡き義父、年さんが「消えゆくものを記念に残したい」と約40年前に購入。山崎さんは「たくさんの人に見てほしい」と新天地への旅立ちを喜んでいる。
譲り受ける観光施設のザ・ヒロサワ・シティなどによると、SLは「デゴイチ」の愛称を持つD51形の1116号機。太平洋戦争中の1944年8月に製造され、重さ約95トン、長さ約20メートル、高さ約4メートルの大きさだ。
旧国鉄宇都宮機関区での東北線を皮切りに、本県や北海道などを走行し、76年に引退。直後に山崎さんの義父が購入した。車両は北海道から埼玉・大宮駅まで自走した後、トレーラーで自宅近くまで輸送、そこから仮設の線路を引いて庭に設置した。ホームや屋根も作り、購入に伴う費用は総額約2500万円。これまで計約700万円かけて2回塗り直した。
近所の保育園児や鉄道ファンが訪れることもあるが、山崎さん自身は鉄道に興味がなく、維持費もかさんだ。輸送費や撤去費の負担を条件に無償譲渡先を募ると、複数の問い合わせがあった。
譲渡先に決まったザ・ヒロサワ・シティは、既に寝台特急「北斗星」など9車両を展示しているが、SLは初めて。今回の車両が本県内の常磐線を走っていた縁もあり、引き取りを熱望した。約2千万円をかけ三つに分割してトレーラーに積み、夜間に陸送。再び組み立てて展示する。
山崎さんは「別れを寂しがっている妻や子どもも茨城なら見に行ける。多くの人に楽しんでもらえれば、SLにとっても幸せだろう」と話した。
無償譲渡されたD51形は9日、筑西市茂田のザ・ヒロサワ・シティに到着。クレーン2台を使ってつり上げられ、寝台列車「北斗星」の隣に設置された。作業を見守った、ザ・ヒロサワ・シティ施設長の大久保勉さん(61)は「SLと言えば『デゴイチ』。やっぱりすごく迫力がある」と関心しつつ「10月中旬以降、無料で一般公開する。ぜひ多くの人に見に来てほしい」と話した。
問い合わせは広沢商事(電)0296(21)1234。
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