「わらぼっち」大作ずらり 洋画家・武石さん卒寿記念展 郷愁誘う油彩画18点 13日まで 茨城・水戸

茨城新聞
2026年2月11日

茨城県大子町の冬の風物詩「わらぼっち」を30年近く描き続けてきた同町在住の洋画家、武石絹枝さん(89)の卒寿を記念した個展が、同県水戸市三の丸の常陽芸文プラザで開かれている。雪景色にたたずむわらぼっちや川面のシガ(氷花)などを描いた郷愁を誘う油彩画18点が飾られている。同展は13日まで。日・月休館。

武石さんは1936年、同県ひたちなか市生まれ。洋画家の故・西田亨さんに師事し、66年に日展で初入選。制作活動を一時中断していたが、98年に日展で2回目の入選を果たして以来、全国の公募展や個展で活躍してきた。

脱穀後のわらを、家畜の餌や野菜栽培などに用いるために田んぼに積み上げて天日干しする「わらぼっち」との出合いは約60年前。県立大子二高(現在は閉校)に美術教諭として赴任した際に目にし、「家族が肩を寄せ合い語らっている」ような愛らしさに魅了された。実家が農家だったという武石さんは「(わらぼっちを)見ると米農家が作業する姿が脳裏に浮かぶ」と目を細める。

会場には90年代から2024年の近作まで、日展や光風会展で入選した大作がずらり。わらぼっちを描いた作品は全て100号サイズで、地表に雪がまばらに積もる晩秋の「里山の初雪」、一面雪景色の川沿いにぽつんと並ぶ「雪田」などさまざまな表情を捉えている。

武石さんは「わらの匂いや冷たい風が吹く音などを五感で伝えたいと思って描いている。健康だからこそ個展を開けてうれしい。これからも元気なうちは描き続けたい」と語った。

武石さんの卒寿記念展は大子町大子の大子ドレメ美術館でも22日まで開催中で、油彩画や彩漆画の小品25点を展示している。水・木曜休館。