北茨城、懐かしの写真 街並みや行事、炭鉱も 11月末まで 市立図書館企画展 

茨城新聞
2025年11月22日

茨城県北茨城市の郷土資料をデータ化し保存する「デジタルアーカイブ」事業に取り組む市立図書館(同市磯原町本町)は、作業を行った写真の一部をパネルにし、企画展を開催している。市民らから寄せられ公開している約1500枚の写真の中から印象的な144枚を展示。明治から平成期までの建物や街並み、地域の行事、基幹産業だった炭鉱などの記憶がパネルを通して現代によみがえる。同館は展示をきっかけに事業を知ってもらい、さらなる歴史の保存につなげたい考えだ。同展は30日まで。

展示は市制施行70周年記念の一環。インターネットを使えない世代に写真を楽しんでもらいつつ、2023年から始まった同事業を周知することで市民からの貴重な写真提供につなげるのが狙いだ。

「デジタルアーカイブパネル展」では学校・公共施設・街並み・炭鉱・行事・その他とテーマごとに分けて展示。学校の分野では木造の旧校舎や廃校になった学校、授業風景を収めた写真が並び、懐かしさを漂わせる。

公共施設では昭和期を中心に建てられた旧庁舎、市民病院、郵便局などが展示されている。街並みでは磯原町や平潟町などのかつての商店街や大通り、同市を南北に走る国道6号、石炭輸送のために多数の引き込み線がある磯原駅、昭和40年代の六角堂などが並び、現在との違いを楽しめる。

炭鉱では採炭現場や選炭場、質の悪い石炭の集積場「ズリ山」、炭鉱労働者と家族が住む「炭住」の写真を展示。かつて隆盛を誇った産業の面影を感じられる。

このほか、市制施行式典や市を襲った災害の写真も並ぶ。また、会場では同市の歴史を記録した動画も上映されている。

石森恵彦(よしひこ)館長は「ご高齢の方には懐かしんでもらい、若い人には郷土の歴史を学んでほしい。デジタルアーカイブ事業にも応募してもらえたら」と話した。