葛藤する人間像を描いた35点を紹介 富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館(群馬)で収蔵品展
上毛新聞
2025年9月21日

作品にまつわる相反する要素に着目しながらその画業を紹介する収蔵品展「福沢一郎 葛藤のドラマを求めて」が群馬県富岡市立美術博物館・福沢一郎記念美術館で開かれている。「現代社会と地獄」や「天才と失敗」などに込められたメッセージを読み解く。来年(2026年)2月1日まで。
三つの展示室などを使い計35点を紹介。大作の並ぶ展示室3に「爬虫類(はちゅうるい)はびこる」と「爬虫類滅びる」の対をなす作品が並ぶ 。
はびこるは、巨大化して鋭い牙を持った肉食恐竜が青い空をバックに闊歩(かっぽ)する。滅びるは、落日の太陽を背景に骨となった大きな恐竜の足と、骨にまとわり付くネズミのような動物が描かれている。ともに1974年の作品だ。
学芸員の肥留川裕子さんは「一見恐竜の盛衰を描いたようだが、恐竜の姿に現代日本の巨大政党が、その骨をかじるネズミのような動物は野党のありようが重ねられ、強い社会風刺とユーモアを含んでいる」と説明する。