陰影美しい版画110点 斎藤清の歩みたどる企画展 筑西・廣澤美術館 茨城

福島県会津地方の冬景色を捉えた「会津の冬」シリーズで知られる版画家、斎藤清(1907~97年)の作品を紹介する企画展「私のふるさと会津 斎藤清 版画展」が、茨城県筑西市大塚の廣澤美術館で開かれている。白と黒を基調とした繊細な陰影表現が美しい「会津の冬」をはじめ、版画約110点が展示され、斎藤の創作の歩みをたどることができる。
同展の会場は本館とつくは野館に分かれ、約70点が初公開となる。福嶋達也副館長(38)は「例年にない暑さが続くが、涼しげで多彩な『会津の冬』を見て楽しんでほしい」と話している。
斎藤は福島県会津坂下町に生まれ、4歳で北海道に移住。看板店で働いた後、24歳で上京し、宣伝ポスターの制作などをしながら独学で油絵を学んだ。29歳で木版画と出合い、国際展で受賞するなど国内外で高い評価を得た。
本館には「会津の冬」をはじめ、会津地方の風景が捉えられた約50点を展示。隣接するつくは野館には、斎藤が慣れ親しんだ鎌倉や京都、スケッチ旅行で訪れた世界各地の風景に加え、版木の木目を巧みに生かし猫や仏像などが描かれた約60点を展示する。
初公開の作品のうち、「会津の冬(67)坂下 立木観音」は、雪化粧をまとった門に朱色のちょうちんが目を引く。「WINTER IN AIZU YANAIZU(38)」は、福島県柳津町に晩年築いたアトリエから見える只見川が表現されている。同展の会期は11月9日まで。