3年がかりの修復で仁王立ち姿が復活 栃木県足利市の最勝寺の「木造金剛力士立像」

下野新聞
2025年7月18日

栃木県鹿沼市下沢の仏像修復工房「三乗堂」で修理が進められてきた大岩山多聞院最勝寺(足利市大岩町)の足利市指定文化財「木造金剛力士立像」が足部分の欠損部分を埋める作業などを終え、りりしい仁王立ち姿を約3年ぶりに取り戻した。

寺の山門に安置されていた木像は制作年不明で、右の阿形(あぎょう)像は高さ280cm、左の吽形(うんぎょう)像は285cm。寺南東に接する両崖山で2021年に発生した火災では一部が緊急搬出され、大規模修理が不可避となった。

木像は地面に近い足部分の損傷が激しく、22年春に修理が始まった。欠けた部分をヒノキで埋めるなどの作業を施し、6月12日に自立した。今後は新しくはめ込んだ箇所の色を調整するなどの作業を続け、来春再び寺の山門に姿を見せる。

15日は東北大から専門家が訪れ、制作年代を特定する調査を始めた。自立した像を見た寺の沼尻了俊副住職(36)は「ついにここまで来た」と感慨深げ。職人の井村香澄さん(36)は「像を自立させるという大きなテーマを果たせて安心した」と笑みを浮かべた。

⇒大晦日の夜、悪口を叫ぶ100人超の大集団… 足利市の山奥で続く“奇祭”の全容に迫った

地図を開く 近くのニュース