「市宝」そろえ記念展 日立市郷土博物館50周年 第1弾、資料や文化財50点 茨城

茨城県日立市宮田町の市郷土博物館は開館50周年を記念し、貴重な収蔵資料を紹介する「市宝展DX(デラックス)パート1」を開いている。5万点以上に及ぶ収蔵品のうち、これまで公開することが少なかった貴重な資料や文化財約50点を展示。発掘された化石や土器から、徳川光圀にまつわる江戸期の資料、日立風流物の歴史、地元ゆかりの芸術作品に至るまで幅広く網羅した。同展は5月11日まで。
同館は1975年4月、県内初の市町村立博物館として開館。以来、郷土に関わる考古・歴史・産業・民俗資料、美術資料を収集、保存、研究している。
展示は4部構成でたどった。「地質時代」では、同市助川町で見つかったカンブリア紀(約5億年前)の海綿の化石を紹介。「原始時代」では、縄文から中近世にかけ、土器や土偶、埴輪(はにわ)などを並べた。十王台式土器は十王地区の遺跡から出土した弥生時代後期の長胴壺で、形や模様の美しさが特徴。古墳時代後期の家形埴輪も見どころだ。
「中世・近世」では、市南部の吉田神社で建物を建てた時の記録を書いた棟札を一挙16枚並べた。光圀は既存の八幡神社を政治的に吉田神社に改称する「八幡改め」を断行しており、棟札からその歴史を知ることができる。
ユネスコ無形文化遺産の「日立風流物」の展示では、戦災で焼失した後に全国から集めた人形の頭を並べたほか、大正時代の写真も楽しめる。
「美術」では、1953年に日立を訪れて描いた棟方志功の肉筆画や、戦後すぐ創立した美術団体「日立美術協会」の創始メンバーらによる洋画作品もある。
展示は第1弾で、秋に第2弾を開く予定。同館の大森潤也学芸員は「県指定や市指定文化財を含め、市の宝といえるよりすぐりの資料。多くの人に見てほしい」と話した。観覧無料。