舟塚山古墳の埴輪展示 最新研究も紹介 茨城・石岡
第38回企画展「舟塚山古墳の埴輪(はにわ)」が茨城県石岡市総社の市立ふるさと歴史館で開かれている。同古墳が築かれた年代を推察する手がかりとなった埴輪を展示し、併せて最新の研究成果も発表している。同展は12月27日まで。
同市北根本にある同古墳は長さ185メートル、後円部の高さは約11メートルあり、県内最大、東日本2位の規模を誇る前方後円墳。出土した埴輪はほとんどが円筒埴輪で、人物や動物を模した形象埴輪は発見されていないのが特徴という。
1976年に考古学研究者の田中新史氏が採集した埴輪の研究から、当初は6世紀と考えられていた築造時期が5世紀前期や初頭にさかのぼって考えられるようになった。
田中氏らの調査で見つかった埴輪が今年、石岡市に寄贈された。これらの資料を展示し、同古墳群の一つで築造が約100年新しい府中愛宕山古墳の出土品を並べ、技法の変化を比較できるようにした。
2023年に同市教育委員会と早稲田大が共同調査した成果の一部も紹介。墳丘と周囲の17万3000カ所の緯度、経度、標高をデータ化した「点群測量」や、地中レーダー探査で地下の構造や埋蔵物を調べた結果も掲示している。
企画を担当した市教委文化振興課の谷仲俊雄さんによる展示解説の際は、展示ケースが取り外され、考古学ファンが埴輪に施された細工の様子を観察する姿が見られた。
谷仲さんは「これほどの規模の古墳で本格的な発掘や修復もなく形がきれいに残り、立ち入り禁止されていない例は全国的にも珍しい」と話した。
同歴史館は石岡小の敷地内。開館時間は午前10時~午後4時半。月曜休館。