JR友部駅前にぎわい創出へ カフェ開業 地元団体が熱望 アーティストの安達さん 笠間特別観光大使 茨城
茨城県を拠点に町おこしに絡めた音楽ライブなどを展開しているアーティスト、安達勇人さん(36)が、同県笠間市のJR友部駅前で新たな事業を始めた。駅前のにぎわい創出に腐心する地元の団体からの熱烈オファーを受け、空き店舗に9月22日、カフェ&バーをオープンさせた。安達さんは「年齢を問わず、人と人との交差点になってくれればいい」と意気込みを見せる。
店名は「ADACHI HOUSE DRIVE IN+」。立地するのは駅南口から徒歩1分の県道交差点の角。テナントビルの1階で、フロア面積は約77平方メートル。内装はコンクリートむき出しだ。午前7時~午後10時の営業時間で、コーヒーやソフトドリンク、クレープなどを提供。ワイン、ビールなど酒類も用意する。安達さんは「お酒が飲めるスターバックスコーヒーのようなイメージ」を狙ったという。
安達さんは同県桜川市出身だが、20代初めに笠間観光大使を務めた縁で、現在も笠間特別観光大使を務める。これまで自ら創業した株式会社「ADACHI HOUSE」の事務所を笠間稲荷門前近くに構え、同市での活動に力を入れてきた。ただ、これまでは主に笠間地区でイベントなどを展開し、友部地区での活動はなかった。
今回の出店は、1年ほど前に友部駅前の住民有志でつくる友部駅前活性化協議会から、「ADACHI HOUSEに友部を盛り上げてほしい」と懇望されたのがきっかけだ。案内された空き店舗の立地も気に入り、「友部駅前に新しいムーブメントを起こせたら」と挑戦を決めた。
JR友部駅は常磐線、水戸線の結節点で、乗車人員は1日平均約3000人(2023年度)。07年には橋上駅舎として整備され、市の中心駅として機能している。駅前には商店街も形成され、昭和の高度成長期にはにぎわった。その後、車社会の進展で商業環境が変わり、店主の高齢化や後継者難とともに、店じまいするところも増えてきた。
市の公共施設「地域交流センターともべ」など、駅前に集う場所はあるものの、飲食や喫茶を楽しむ店は少ない。安達さんは「ファンから(駅で電車の)乗り換えで1時間くらい待たないといけないときでも、待ち時間を過ごす場所がないという声を聞くことがある」と話す。
21年から活動する同協議会は、駅前の空き店舗の活用を促す取り組みを続ける。小林広会長(75)は「新規出店の例もあるが、まだ8~9軒は残っている」。村上直之事務局長(66)は「通勤、通学の通過点になってしまっていることが課題。駅前に人が来る理由をつくることが必要。安達さんの出店はありがたく、大ウェルカムです」と話す。
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