《食いこ》菓笑 堀江製菓(茨城町) 地産地消の理念、だんごに

茨城新聞
2024年1月2日

茨城県茨城町常井の県道40号沿いで、店名を記した黄色い看板がひときわ目を引く「菓笑 堀江製菓」。季節の和菓子をはじめ、どら焼きや酒まんじゅう、カステラなど定番の菓子を製造販売。店舗前の駐車場は来店客の車がひっきりなしに出入りし、地域の人気店であることがうかがえる。

創業は1973年。先代店主の堀江朝男さんが、妻の順子(よりこ)さんと水戸市内で4坪の貸し店舗でスタートした。78年、同町に移転して食品ストアを開店し、和菓子を中心に販売。その後、長男の誠さん(49)が跡を継ぎ、2012年前に現在の地に移って新しい店を構えた。

「原料には、できるだけ地のものを取り入れている。食は安心安全が最も大切。生産者の顔が見える素材は食育の面でも意味がある」と現店主の誠さん。「自分は決して菓子作りの匠(たくみ)ではないが、菓子を通じてお客さまに笑顔を届けることを目指している」。熱い思いは、店名に冠した「菓笑(かしょう)」の文字に表れている。


地産地消の取り組みの一つとして、今年から町内の耕作放棄地で栽培したうるち米を使い始めている。この秋には、約1300平方メートルの同耕作放棄地から約630キロを収穫した。誠さんによると、同店で年間に使う量の3分の1に相当する。

そんな特別なうるち米で作る菓子の代表格が、「笑笑(にこにこ)だんご」。表面には県内産しょうゆを原料にしたみたらしが塗られ、餅生地の中には甘さ控えめのこしあんが入る。口に運ぶと、香ばしいみたらしとあんのほのかな甘みが調和。オーソドックスな菓子に新たな風を運んでいる感じだ。

県産ベニアズマを用いた芋ようかん

もう一つ、地元素材の菓子として押さえておきたいのが「芋ようかん」。町内農業法人などで栽培される県内産サツマイモ「ベニアズマ」を使用している。掘りたての時期はクリのようなホクホクとした食感で、貯蔵を経たものは糖度が増してしっとりとした口当たりになるという。

「茨城は、多くの野菜が全国生産量の上位を占める農業県。魅力に事欠かない」と誠さん。「今後は規格外の作物なども積極的に使用し、おいしい菓子を作っていきたい」と笑顔で語った。

■お出かけ情報
菓笑 堀江製菓
▽茨城町常井675の22
▽営業時間は、午前8時半~午後6時
▽休業日は、火曜
▽(電)029(292)3924

菓笑 堀江製菓