女性のしなやかさ表現 茨城・水戸 人形作家・日高さん個展

茨城新聞
2023年10月31日

茨城県日立市在住の人形作家、日高朋子さん(65)の個展「カノン~響きあう~」が、同県水戸市備前町の常陽史料館で開かれている。木や金属、和紙などさまざまな素材を使い、女性のしなやかさや力強さを表現した創作人形43点が展示されている。

日高さんは大学在学中、偶然出合った人形展に影響を受け、独学で人形制作を開始。木製の芯にキリ粉で肉付けし、絵の具や和紙などで彩色する技法を主に、やわらかな色合いの女性像を作り出している。

会場には、子を抱く母親や風を受けて立つ女性、ギリシャ神話の女神など多彩な女性像が並ぶ。作品を貫くテーマは「祈り」。日高さんは「女性として歩む中で、自分の中にある祈りの対象が変わっていった」と話す。万能感を抱く独身時代を投影した「ブルージュの風」や、母になり、祈りの対象が自身から子へと変化した「慈しむ」、孫が生まれ、母子を外から見守る姿を形にした一対の人形「包むⅠ」「包むⅡ」など、作品は女性のライフスタイルの変遷を反映している。

日高さんは「多くの人に背中を押されながらやってきた。作ることは魂の喜び、幸せ」と笑顔を見せた。

11月12日まで。午前10時から午後5時45分。月曜休館。