地産ウイスキー、世界に 茨城・木内酒造 精麦工場6月稼働、7月販売

茨城新聞
2023年5月13日

創業200年を迎えた老舗酒蔵の木内酒造(茨城県那珂市鴻巣)が、地元産穀物を使ったウイスキー事業を拡大させている。石岡市内で6月に精麦工場を稼働させるほか、7月には主原料に那珂市産の小麦を使ったウイスキーを発売予定。今年にはコメを使ったウイスキーも売り出す。穀物生産者の確保など課題はあるものの、木内敏之社長(59)は「茨城をウイスキー造りのメジャーな地にしたい」と意欲的だ。

同社は2020年、筑波山麓にある石岡市須釜の「八郷蒸溜所」を稼働させた。年間30万リットルを生産できる蒸溜所には、約4千本の木製樽(たる)に詰められたウイスキーが眠る。

1823年創業の同社は、2016年にウイスキー製造に参入し、醸造から蒸留、貯蔵までの工程を自社施設で手がける。6月に同市東大橋で稼働予定の精麦工場では麦から麦芽を造り、ウイスキー製造に当てる麦芽のほとんどを国産で賄う予定だ。現在の6倍に当たる年間約600トンの麦で大量の麦芽を造る計画という。

ウイスキー製造の課題について、木内社長は「それだけの量の麦を集められるかだろう。生産農家との契約が鍵を握る」と語る。現在は那珂市の農家と契約して小麦と大麦を栽培しているが、今後は石岡市など県内各地の生産者を募り、地元産の麦やコメを使って世界戦略を練るのが最終的な目標だ。

昨年は初のボトルウイスキー「日の丸ウイスキーブレンデッドニューボーン2022」を販売。「東京ウイスキー&スピリッツコンペティション2022」洋酒部門で金賞を獲得するなど高い評価を得た。

日本酒「菊盛」やクラフトビール「常陸野ネストビール」で知られる同社だが、ウイスキーでも世界的な認知度向上を狙う。木内社長は、世界を相手に売り込むには「日本でしか造れないウイスキーにしなければならない。そのためにも地域の穀物を使うのは大前提」と力を込める。

今年発売するウイスキーは、国産穀物も含まれているが、使用した麦は海外産。100%国産素材のウイスキー誕生までは約3年はかかる。今年6月に収穫する麦で造る場合、熟成に3年を要するためだ。

同社が挑むウイスキーの味わいが決まるのはこれから。木内社長は「コメを使うとコメ独特の香りの成分ができる。それは日本人が好きな香り。そういうものを、かすかに感じるウイスキーになるだろう」と語り、熟成を終える3年後に思いを巡らせている。