朝ドラ「ひよっこ」ロケ地巡りで地域活性化に
県北地域で撮影が行われ、9月末に放送を終えたNHK連続テレビ小説「ひよっこ」のロケ地には、今でも大勢の観光客らが訪れている。テレビを通しておなじみとなった景色を背景に、写真を撮ったり、ドラマの思い出話に花を咲かせたりしている。撮影場所となった地域の住民や行政は今後の地域活性化に結び付けたいと取り組みを進めている。
物語は茨城県北西部の山あいの架空の村「奥茨城村」の農家に育った有村架純さんが演じた谷田部みね子が集団就職で上京し、成長していく姿を描いた。
常陸太田市西河内下町の国登録有形文化財「旧町屋変電所」は奥茨城村役場の支所として登場。東京五輪を盛り上げようと村で開かれた聖火リレー大会で、れんが造りの変電所を背景にみね子の親友、助川時子が走り出すシーンなどが撮影された。
4月下旬にリレーシーンが放送されると、見学者が訪れるようになり、7~8月にかけ、市が幹線道路沿いに案内板を立て、変電所付近に撮影風景を紹介する看板や聖火台のレプリカなどを設置した。11月は団体バスツアーのコースにも組み込まれ、多い日で1日200人以上が足を運んでいる。
変電所の保存活動に取り組む「河内の文化遺産を守る会」(檜山貞人会長)は、見学者をもてなそうと変電所の説明や撮影時の逸話紹介などを行っている。檜山会長は「昔のままの姿が人々の郷愁を誘うのでは。地域を知っていただく好機」と話す。
県内撮影の約9割が行われたという高萩市。中でも印象深いのが、みね子と時子、角谷三男の同級生3人が通学や、上京・帰省などのシーンで登場した「バス待合所」。撮影に使われたバス待合所は放送終了後に市が管理を任され、撮影と同じ場所の市道脇に設置された。待合所は広さ約9平方メートルの木造だ。市は待合所までの道案内板やのぼり旗を設置し、スムーズな誘導に取り組む。
地域住民らは待合所付近に手作りのバス停「上賀口」を設置。傍らには「奥茨城村役場上賀口支所広報課」の掲示板を立て、周辺の観光地図やイベントのお知らせ板として活用している。11月中旬には地域住民らが周辺に寒さに強いビオラやパンジー約300ポットを植えた。
ロケ地が実家に近く、撮影に協力した菊地英敏さん(51)は「バス待合所が地域住民の集合場所になり、よい雰囲気をつくってくれている。訪ねてくれる人にも喜んでもらい、地域の財産になれば」と期待する。市では「交流人口増につながる仕掛けを考えていきたい」としている。
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