《食いこ》うおふね(茨城町)

■天然ウナギ、漁師が調理
19日は「土用の丑(うし)の日」だったが、今年は31日にもう一度ある。庶民にとって近頃ウナギは高根の花。まして天然となれば、なかなか口にできない。
天然と養殖の違いは生息環境や餌の違い。天然は個体差がある一方、養殖の品質はおおむね安定している。天然は引き締まった身とさっぱりとした味わいで、養殖は脂乗りがよいといわれる。

取れたてのウナギ
天然ウナギや20センチはあろうかというハゼ、大粒の涸沼シジミなど、普段はなかなか目にしない素材が自慢だ。それもそのはず、店主自身が涸沼(茨城県)の漁師。涸沼で取れるおいしい地魚が手頃な値段で味わえることから、地元はもちろん県外からも客が訪れるほどの人気だ。
漁師と料理人の二足のわらじを履く店主の長洲竹識(たけし)さん(49)は元会社員。「自分がやりたいようにやらせてほしい」と父親の店を継いだ。料理は3年間他店で修業し、反発しながら父親からも漁と料理を学んだ。その後は独学で調理法を研究した。
ウナギ職人には「串打ち3年、裂き8年、焼き一生」の格言があるが、「毎日100本、5年も裂けばできるようになります」とこともなげに話す。裂いたウナギに串は打たず、身は一度タレで煮た後、焼き上げる「煮焼き」が長洲さんの流儀だ。「ふんわりやわらか、味も染みるし、火の通りも早い。他は知らないが、おいしく仕上がればやり方はさまざまあっていい」

涸沼近くに店を構える
みりん、砂糖、しょうゆが基本のタレも、レシピは自身が納得できる味を求め「試してやり直すこと7~8年。ようやく自分が食べたい味にたどり着いた」と笑う。「自分で取った魚を自分で料理して出す方が効率がいい」と今のスタイルに落ち着いた。
人気は涸沼の天然ウナギを使った濃厚な味わいの「天然うな重」。上は4300円(いずれも税込み)、並3600円。涸沼産の大盛りのしじみ汁が付く。安く楽しむなら、小ぶりのウナギをさっくり揚げてたれをかけた「天然うなぎの天丼」(1500円)。しっかりウナギの味だ。
店はカウンターや座敷のほか宴会場もあり、団体での利用も可能だ。10人以上なら事前予約するとよい。
■お出かけ情報
▽住所は茨城県茨城町下石崎2262の3
▽営業時間は午前11時~午後2時、同5~8時
▽月曜定休
▽(電)029(293)7332
天然ものは数が限られるため、電話予約を。