《いばらき御朱印めぐり》笠間市 常陸国出雲大社

茨城新聞
2025年7月13日

アートに触れる空間 芸術家3人のデザインも

長さ16メートル、重さ6トンの巨大なしめ縄が出迎える茨城県笠間市福原の常陸国出雲大社は「アートと信仰の融合」を掲げる。3人の芸術家が手がけたデザインを含め5種類の御朱印帳を用意するほか、アートギャラリーや美術館などを境内に設け、「半日いても飽きない空間」を作り上げる。

主祭神は大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)。摂社の薬神神社で祀(まつ)る少名彦那神(すくなひこなのかみ)と共に国づくりに励んだと伝わり、「だいこくさま」として親しまれる。御利益は多くの子どもをもうけたことから、あらゆる人や物との縁結びのほか、農業や漁業、病気平癒、商売繁盛など幅広い。

(左上から時計回りに)伊藤遠平さん、金子富之さん、岡本瑛里さんによる御朱印帳と通常版、「みたままつり」の御朱印

1992年に島根県の出雲大社から分霊を迎えて創建し、2014年には単立の宗教法人として独立した。常陸国は古来より日が立ち上るところとされ、日本書紀で日が沈み休まる「天日隅宮(あめのひすみのみや)」と記された出雲大社、大国主大神の御子神(みこがみ)である建御名方神(たけみなかたのかみ)を祀る長野県の諏訪大社と、直線上で結ばれた神縁の地だ。

御朱印は通常版、不定期で頒布する数量限定版の2種類。限定版は桜やツバキなど毎回異なる絵柄の刺しゅうを和紙に施す。この夏は、毎年8月14、15の両日に先祖や戦没者の魂をしのぶ「みたままつり」のちょうちんや花火をあしらった。授与開始はホームページやインスタグラム、LINEで告知する。

山鬼ホールの天井には金子富之さんが描いた「宇宙蛇」が常設展示されている

御朱印帳は、拝殿やしめ縄を描いた2種類と、現代芸術家の作品を表紙にした3種類の計5種類と豊富。笠間市のアトリエで活動する伊藤遠平さんは、境内の森と出雲大社の八雲のイメージを掛け合わせた神社のキャラクター「モクモクフー」を考案し、仲間との冒険の様子を描いた。ほかに、金子富之さん、岡本瑛里さんによる表紙がある。

高橋正重権宮司(51)によると、父・正宣宮司は昔からものづくりに憧れがあり、趣味で美術品を買い集めていた。現代アートを御朱印帳にしたのは「若い作家への応援」の気持ちからだという。16年に「ギャラリー桜林」、23年には鎮座30周年を記念して建てた新社務所内に展示スペース「山鬼ホール」を新設。同ホールの展示は宮司のコレクションが中心で、年に1回入れ替える。

高橋権宮司は「アートに触れながら御利益を受けられる。新しい神社だからこその魅力を楽しんで」と語った。

■メモ
アクセス:笠間西ICから約1キロ、車で2分
住所:茨城県笠間市福原2006
(電)0296(74)3000
受付時間:午前9時~午後4時半
御朱印:通常版500円、限定版1000円。御朱印帳は通常版各2000円、アート版各2200円