女帝の世紀 大胆に描く 故永井さん古代史著作展 茨城・古河
茨城県古河市出身の歴史小説家で直木賞作家、故永井路子さんの著作の中で、古代史を舞台に書いた作品に焦点を当てた「女帝の世紀~永井路子が描く古代史」展が同市中央町の古河文学館で開かれている。秋沢正之館長は「学者やジャーナリストとは違う、繊細かつ大胆な『永井さんならでは』の視点を感じてほしい」と話している。3月16日まで。
永井さんは直木賞を受賞した「炎環」をはじめ「氷輪」「北条政子」など多くの歴史小説を残した。史料を丹念に調べ、独自の解釈から大胆な仮説を立てたことでも知られる。
そんな永井さんは、6世紀末の推古天皇から8世紀後半の称徳天皇までの治世のうち、男性天皇と女性天皇の割合がおよそ半々だったことに注目。著書「女帝の歴史を裏返す」で、女帝は単なる中継ぎ役ではなく、内政や外交の面でもしっかりとした役割を果たした国の大黒柱だったと訴えた。同時に、蘇我氏と藤原氏の間には母系を巡る激しい争いがあった点も指摘している。
同展では、持統天皇をテーマとしながらも、永井さんの作品では珍しい現代小説「茜(あかね)さす」や、元正天皇の視点から皇位を巡る攻防を描いた「美貌の女帝」など小説のほか、エッセーや短編集を含めた古代王朝をテーマとした作品を展示。自筆原稿や当時の初掲載の雑誌といった、同館所蔵の貴重な資料とともに紹介している。
入館料は大人200円、小中高生50円。問い合わせは同館(電)0280(21)1129。
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